前回はフィルターとエンベロープジェネレータの関係について解説しましたが、今回はもう少しエンベロープジェネレータについて掘り下げてみたいと思います。
エンベロープジェネレータの基本
前回にも述べましたが、音が時間経過と共に刻々と変化する状態は、エンベロープジェネレータ(以下、EG)で設定し、音程、音色、音量などの時間的変化を表現します。
アナログシンセサイザーの名機ミニモーグの場合だとADS型だったり、同じくアープオデッセイだとADSR型とAR型の2種類が用意されていたりとレアケースはありますが、一般的に多くのアナログシンセサイザーではADSR型のものが用いられています。ここに出てきたA、D、S、Rというのは、Attack Time(アタックタイム)、Decay Time(ディケイタイム)、Sustain Level(サスティンレベル)、Release Time(リリースタイム)という各パラメータを指しています。Attack Timeは鍵盤を押してから最大レベルに達するまでの状態、Decay Timeは最大レベルから減衰していく時間、Sustain Levelは減衰してから変化が一定となるレベル、Release Timeは鍵盤を離した後に変化が0になるまでの時間をそれぞれ設定します。
ちなみにデジタルシンセサイザーの場合、アナログシンセサイザーに比べて音色パラメータ数が圧倒的に多いため、時間(=変化の速さ)とレベルをそれぞれ4か所ずつ持った8ポイントの設定が行えるEGだったり、それ以上の設定ポイントを持ったEGなどもあります。ちなみにEGの設定ポイントが多いほど、より複雑な時間的変化を設定できますが、それを設定するために要する時間や手間は比例して増えていくワケです。
さて、Spireに用意されている4基のEGはいずれも6ポイントの設定ができます。一般的なADSR型との違いはSLT(スロープタイム)とSLL(スロープレベル)というパラメータが増えている点です。

以外と見落としがちな機能だが、各ENV画面のスライダー上部のグラフィック部分で各ステージの線上をクリックすると、変化曲線を変更することができる。図は初期設定状態から変化曲線を変えた例。スライダーで設定した値が同じでも変化曲線が変わるとサウンドのテイストが変化するので、スライダーでエディットしてもしっくりこない場合は、変化曲線を変えてみると良いだろう。
この2パラメータが増えることで何ができるのかというと、1回サウンドの変化が終わった後、更に時間的な変化を設定できるのですが、長くなりますので続きは次回に。。。