前回に続きオシレータセクションのチョイ足しエディットを紹介しましょう。今回はシンセベース音色でのチョイ足しです。
Factory 3番の「Octava」にチョイ足し
いかにもアナログシンセベースらしいサウンドのプリセット“Octava”は、2オシレータを使用し、オシレータ1をオシレータ2に対して2オクターブ下げた設定で作成されています。
4オシレータ仕様ながらも2オシレータでこの厚みや太さが出せる点はSpireの長所でもあるのですが、EDM系の重低音のようなサウンドの場合だと、もう少し低域の音圧感が欲しいところです。
そこで、未使用のオシレータ3を使用してサブベース感を補強してみました。
設定のポイントは、オシレータ3のオクターブレンジを-2に設定し、ウェーブテーブル波形でサイン波を選び、ミックスバランスを右側に振り切ることです。

オシレータ3をエディットした状態。枠線で囲んだ部分が設定した箇所となる。
ちなみにサウンドキャラクターに変化をつけたい場合には、wt mixのバランスを調整すると良いだろう。各モードで設定したオシレータ波形とのミックスバランスが変わることで波形が変化するため、サウンドのバリエーションを得ることができる。
ちなみにサウンドキャラクターに変化をつけたい場合には、wt mixのバランスを調整すると良いだろう。各モードで設定したオシレータ波形とのミックスバランスが変わることで波形が変化するため、サウンドのバリエーションを得ることができる。
このように設定を行うと、オシレータ3が音色の基音のような形で一番下に置かれるため、実際の音色のテイストには大きな影響を与えません。そのため、元々の音色の状態を維持しつつ低域がブーストされたサウンドに仕上げることができるワケです。
参考例のデモサウンドを聴き比べて頂くとパッと聴いた感じは違いがわかり辛いかもしれませんが、低域がしっかり再生できる環境だとローの出方の違いがハッキリと感じられると思います。

チョイ足し前(Before)とチョイ足し後(After)のデモサウンドをそれぞれ書き出した波形の状態。上がBefore、下がAfterで、Afterの方が波形の振幅が大きいことから音色自体の音量がブーストされていることがわかる。
サンプル:Before(プリセットを未エディットの状態で演奏した状態)
サンプル:After(オシレータ3のチョイ足しを加えた状態)
また、実際の曲中で使用する際には、曲想に応じてオシレータ3のボリュームレベルを調整して最適な音圧感になるように仕上げていくと良いでしょう。