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Spireのプリセットサウンドを更に良くするチョイ足しエディット術 vol.13

先日公開されたスターウォーズの新作が巷では話題になっていますが、今回はSF映画でよく見かけるロボットの会話シーンで出てくる喋り声風の効果音をチョイ足しエディットで作ってみましょう。
サウンドの決め手はLFOをどのように使用するかがポイントとなります。

Factory 14番の「Talking」をR2-D2風の喋り声に変えるチョイ足しエディット

エディットの元となる14番のプリセット「Talking」は、トーキングモジュレータに通したようなシンセベースサウンドです。


エディットを行う前の Talking の設定画面。

設定自体は非常にシンプルなのでエディットして色々なサウンドに変化させることができますが、SF映画の定番効果音の一つで「ロボットが喋っているような音色」にするには、LFOのS&H(サンプル&ホールド)でオシレータのピッチを変調するのがポイントとなります。

エディットの手順は次のような流れとなります。

1:オシレータ1の基準オクターブを+2に設定する

ここでは2オクターブ上に設定しているが、演奏する音域によって低い声や高い声の雰囲気が出せる。イメージするキャラクターに応じて音域を使い分けるのも効果的だ。

2:LFO1のformでS&Hを選択する

ここで選択しているS&Hは、変調を行う波形をランダムに変化させて出力するため、効果音を作成する際の変調用波形として使用されることが多い。

喋り方のバリエーションを出したい場合は、LFOセクション内にあるrate、amp、amtノブを適宜変化させることで様々なシチュエーションに合わせて喋り方を調整できます。

各パラメータの役割は、rateがLFOの変化速度、ampがLFOの変化の深さを調整するパラメータ。amtは、ここではオシレータ1のピッチの変調量を調整するパラメータとして機能している。

後は、適当にMIDIキーボードを押さえて、自由に効果音トラックを作成すればオーケーです。

エフェクトは基本的にお好みで何を使用しても良いかと思いますが、今回のデモサウンドでは、内蔵のコーラス、ディレイ、リバーブなどをほんの少しかけて質感を調整しています。

<デモサウンドについて>

サンプル:プリセットを元にチョイ足しエディットした状態での演奏例。


Reveal Sound SPIRE

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。