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Spireのプリセットサウンドを更に良くするチョイ足しエディット術 vol.14

今回からはチョイ足しエディットから一歩踏み込んで、Spireを使いこなしていくためのTipsを紹介していきましょう。
まずはオシレータセクションの主要パラメータの役割を理解するところから始めたいと思いますが、今回はアナログシンセ波形に関して説明しましょう。

Spireでアナログシンセ波形を得るには?(前編)

一般的にシンセサイザーらしい音色というと、いわゆるアナログシンセサイザー波形で作り出された音色をイメージすることが多いものです。
その点でも音色作りの基本としては使用するシンセでアナログシンセ波形をどのように得ることができるかを知っておくことは役に立つことが多いでしょう。

Spireの場合は、オシレータをクラシックモードにすることでアナログシンセ的な波形を得ることができます。


Spireの音色をイニシャライズしてデフォルト設定にした状態の画面。

元の状態がわかりやすいように、まずはSpireを初期状態にしましょう。プリセット音色名の表示されている部分の右側にある「INIT」ボタンをクリックすると、Spireのパラメータ設定が初期状態になります。

音色の状態を元のプリセットに戻したい場合には、「INIT」の左にある「MENU」ボタンをクリックしてRestore Presetを実行すると元のプリセットの状態に戻すことができる。

続いてオシレータセクションのモードをクラシックモードにすると、初期状態ではノコギリ波が得られます。


ノコギリ波の状態。

その状態からctrl Aのノブを右に回していくと波形が徐々に変化していきます。

図のようにセンター位置の時にはノコギリ波と矩形波が半々の割合の波形が得られる。

このctrl Aのノブは、ノコギリ波と矩形波の割合がクロスフェードしながら変化し、更に右に回し切ると矩形波となります。


矩形波の状態。

矩形波の状態でctrl Bのノブを変化させると、波形の振幅割合が変化して様々なパルス波(=非対称矩形波)が得られます。

この時のctrl Bノブの役割は、アナログシンセサイザーのパラメータではPulse Widthに相当する機能となる。

ちなみにctrl Bのノブは、ノコギリ波の状態(=左に回し切った状態)だと機能しませんが、少しでも右側になっているとノコギリ波と矩形波がctrl Aノブ位置の割合でミックスされた状態で波形の振幅割合が変えられるため、多彩な波形バリエーションが得られます。


Reveal Sound SPIRE

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。