Hive 2のプリセットアルペジエーター機能の活用をテーマに進めてきましたが、本テーマの最後はシーケンスフレーズパートと、シンセパッドのパートの作成法について紹介しましょう。
今回のデモトラック:
プリセットのアルペジエーター機能を活用する(その2:シーケンスフレーズパート作成のポイント)
2トラックあるシーケンスフレーズパートは、いずれもミニマル的な雰囲気で通奏させているのですが、別々に聴くとどちらもシンプルなフレーズなものであることに気がつくと思います。
これが実はフレーズを組み合わせる時のポイントの一つで、プリセットを組み合わせる時にはシンプルなもので組み合わせる方がフレーズやサウンドが一体感を得やすい傾向があります。
もう1つのポイントは、当たり前と言えば当たり前ですが、フレーズに使用されている音が曲のキー(=調性)に合っていること、音階の構成音以外の音が入っていないことなどに留意してフレーズを組み合わせることです。
もちろん、それらの条件を完全に満たすプリセットはとても少ないとは思いますが、組み合わせてみて和声的な違和感があったら違うものにしてみるぐらいから始めてみると良いでしょう。
参考までですが、私の場合は、そのキーの主音と5度の音(例えばCメジャーならドとソ)で主に作成されたフレーズを軸として他のフレーズを組み合わせていくことが多いです。このようにすることで、シーケンスフレーズパートの調性感に統一性が出るように思います。
実際に使用したプリセットは、“AS Space Sequence”と“KS Particles”です。
AS Space Sequenceはプリセットそのままの状態だと、オシレータ1とサブオシレータ1を使用したベースフレーズが一緒に鳴っているので、その部分をミュートするため、それらのボリュームを0にして、高域のシーケンスフレーズのみを使用しています。これにKS Particlesを組み合わせることによって参考例のような雰囲気を出しているワケです。このように部分的に使用するのもプリセットを活用する上では、非常に有効な方法と言えます。
この通奏パートに変化をつけるために、フィルイン的なフレーズを追加して単調にならないようにしていますが、8小節ごとに入るフレーズはプリセット“AZ Trance Riff”、曲中に出てくるもう一方のフレーズはプリセット“HS Bars Attacks”を使用しました。
この2つの場合には、入れるタイミングのコード感に合うように演奏するノートを指定していますが、適したプリセットを選ぶ際には通奏パートよりも見つかりやすいでしょう。
実際にシーケンスフレーズのパートのみでどのような演奏になっているかはデモサウンドで聴いてみてください。
作成したトラックを更に曲らしく仕上げるには?(シンセパッドトラックの追加とアレンジのポイント)
ここまでに作成したトラックだけでも十分に和声的な響きも感じられるかとは思いますが、今回の参考例は主となるメロディがないのでメロディ的な旋律の流れも少し感じられるようにシンセパッドのパートを2つの異なる音色で追加しました。
トップノートが含まれるシンセパッド1はプリセット“DS Cosmic”、最下音が含まれるシンセパッド2は“DS Transcendence”を使用しています。
どちらのパートにも内声のノートが含まれていますが、両者の動きは異なり、2パート合わせた時に一つのシンセパッドの演奏となります。
音の厚みを出したい場合には同じフレーズをそれぞれのパートで演奏させたレイヤー状態の方が良いのですが、異なる演奏を行なっているパートを組み合わせて一つのパートにすると、オーケストラのストリングスセクションのようなアンサンブル感を出すことができます。
厚みよりも繊細さを出したい場合などにはこの方法を試してみると良いでしょう。 今回は最後にアクセント的に効果音を入れて仕上げましたが、使用したプリセットは“AZ Bubble UP”と“ETE Wilt”です。
こちらについてもシンセパッドだけでどのように聴こえるかデモサウンドで聴いてみてください。
新たな連載の最初ということで、実際のデモトラック制作の流れに沿いつつ、制作工程の各所のポイントを紹介してみました。
次回からは、更にピンポイントでシンセの活用方法を紹介していきたいと思います。
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