前回に引き続き、曲に仕立てていくまでのプロセスを見ていきましょう。
シンセベースで低音を補強する
前回追加したシンセパッドのパートでもベースに相当するノートを打ち込んでいましたので、ある程度ベースライン的な部分も含めていましたが、パッドを追加してみると低域にも厚みがあった方が良いように思いました。
そこで、ベースパートを増やしましたが、使用したのはREPRO-1のプリセット“EH Fat Gut Sweep Bass”です。
REPRO-1を選んだのは、アナログシンセらしいサウンドが出せるだけでなく、後々、ベースの音色をエディットする必要が生じた場合に、直感的に調整しやすいのも理由です。多くの場合、曲作りを進めている時にはその場でイメージに合致する音色自体を選びがちですが、それと共に後で音色を調整しやすいようにエディットが生じた際に、調整しやすいものを選んでおくのも良いでしょう。
もう一点ベースパートにはポイントがあります。
選んだベースの音色はリリースがなく、ノートオフと同時に音が消えてしまうため、シンセパッドの余韻が消える前に音がなくなってしまいます。そこで、余韻の感じを合わせるためにMIDIラーン機能を使用してREPRO-1のボリュームをエクスプレッションでコントロールできるように設定しました。
REPRO-1上での設定は、GUI右上のOUTPUTノブの右側にあるボタンをクリックすると表示が変わりますので、MIDI LEARNをクリックし、アサインしたいパラメータをクリックして選択します。後はエクスプレッションを打ち込んだトラックを再生させるとそのパラメータが追従するように動き出しますので、割り当てた変化が表現できていればアサイン完了となります。
SEを加え、ミックスバランスを調整する
ここまでで、ある程度形になってきましたが、曲全体が今一つ単調でしたので、フレーズの切れ目部分にHive 2のプリセット“ETE Wilt”を使用し、SE的な要素を加えて動きを加えました。
最後に演奏トラックが一通り揃ったところで、全体を聴いてみると各パートのボリュームバランスもパンも全て同じままでしたので、それらを調整して、立体感を出します。
今回の参考例では、各音源の内蔵エフェクトを極力活かす方向で制作を進めていましたので、ボリュームバランスとパンのみを調整しましたが、もちろんソフトシンセ本体のエフェクトをオフにして、エフェクトプラグインを活用したミックスするのも大いにアリですし、本連載でも機会があれば紹介したいと思います。尚、最終的な状態はこちらの参考例のようにまとめました。