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u-heのイカしたサウンドを曲作りに活かす vol.6

今回はアイディアの断片をどのように曲に仕立てていくかをそのプロセス順に追っていきつつ、各パートの音色選びなども含めて完成させるまでを解説したいと思います。

今回のデモトラックを再生している状態(使用DAWはCUBASE Pro 10.5)。

シンセパッドのフレーズをどのようにアレンジしていくか?

まずは今回の参考例はデモサウンドが元になっており、この状態からアレンジを進めていきました。

元となるシンセパッドとシンセリードのみによる曲のモチーフ。

元々Hive 2のシンセパッドのプリセット“AZ Covanent”を立ち上げて図のようなフレーズを考えました。

モチーフとなるシンセパッドはこのように打ち込まれたものが元となっている。

このように最初のアイディアではシンセパッドのトップノートがメロディラインの骨格になっています。しかしながら、シンセパッドの音色であることからアタックが柔らかくフレーズが今一つハッキリしないので、シンセリードでメロディラインをハッキリと輪郭を出しました。使用したシンセは同じくHive 2のプリセット“HS Sprinkler – simple”です。

シンセリードのエディット前の状態

このプリセットを選んだ理由は、ディレイエフェクトによる演出が曲に合っていたためですが、実際に曲中で鳴らしてみるとディレイエフェクトが少々深すぎたため、図のようにフィードバックを浅めにして、右チャンネルのディレイタイムを変更しています。

シンセリードのディレイエフェクトをエディットした状態。黄色の枠線で囲んだ部分が設定を変更した箇所となる。

ちなみにこのディレイ成分が加わることで、シンプルなメロディラインを活性化できることもプリセット選択の理由となっています。

増やしたい要素に応じた音色選び

次に追加したトラックはシンセパッド2のトラックです。最初の段階の2パートだけでも、イメージは表現されていますが、シンセパッドの音域が少し高いので、サウンドが全体的にスカスカな感じになっているように思われました。そこで、もう少し中低域の厚みを増やすことを目的として別のシンセパッドのパートを用意しました。選んだのはDivaのプリセット“BS Beauty Pad”です。

追加したシンセパッドのパートで使用したDivaのプリセットを表示させた状態

図のようなフレーズを打ち込んでいます。

シンセパッドのパートでは図のような演奏を打ち込んでいる。

この音色による白玉コードを加えた状態がこちらの参考音源になります。

u-he_demo_003_02にシンセパッドを追加した状態。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。