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u-heのイカしたサウンドを曲作りに活かす vol.5

前回に引き続きシーケンス系フレーズの入れどころのポイントを中心に解説したいと思います。

リズム系トラックアレンジのポイントとは?

シンセドラムやグリッチ系音色、パーカッションなどもシーケンスフレーズと同様の役割を持つと考えても良いでしょう。

しかしながら、これらの音色を使用したフレージングは、音高の高低変化はありますが、ピアノやバイオリンのようにハッキリと“ド”、“ミ”などのようなものではないことが大きな違いと言えます。

そのため、トラックとして加えていく場合にもリズムの符割的な部分に注意すれば、それなりに演奏空間を埋めることができますが、安易に加えるとトラック全体がせわしなく、フレーズ過多の状態になり、サウンド全体が厚ぼったくなりがちです。

リズム系のトラックを加えるためには、

  • 空間を埋め過ぎず
  • フレーズは目立ち過ぎず
  • ドラムトラックとのコンビネーション良く

に留意して作成したのが、図のようなフレーズです。

シンセドラムトラックに打ち込んだフレーズ。この2小節パターンをループさせている。

パーカッション(シンセドラム)トラックに使用した音色について

前述のフレーズを演奏させるために使用したのは、REPRO-5です。

Repro

アナログ・エミュレーション・ソフトシンセ

REPRO-5は、Reproに含まれているアナログ・エミュレーション・シンセサイザーです。

割と軽め質感のシンプルなシンセドラム音色を加えようと思っていたところ、イメージに合ったプリセットが今一つ合致したものがチョイスできなかったため、デフォルト状態から作成しました。

シンセドラムトラックで使用したREPRO-5の音色の設定状態。詳細はプリセットデータでチェックしてみてほしい。

設定的には特に複雑な設定などはしていませんが、フィルターのカットオフとレゾナンス、フィルターとアンプEGの各ディケイタイムを中心に質感を調整しているのがポイントとなります。

また、音の動きが欲しかったので、CUBASE内蔵プラグインのオートパンを使用して周期的にパンを左右に動かしています。

このトラックは、ボリュームを過剰に大きくしてしまうと必要以上に目立ってしまい、アンサンブル的に逆効果です。「ドラムの後ろで何かウロウロしている音があるな」位に調整されているのが丁度良いバランスになるでしょう。

前回のシーケンストラックと今回のシンセドラムのトラックが加わったのが、こちらです。

ベーシックトラックにシーケンスフレーズのトラック、今回解説したシンセドラムトラックを加えた状態のデモサウンド。

これもベーシックトラックの状態と聴き比べて違いを確かめてみてください。

ちなみにREPRO-5ユーザーの方は、今回作成した音色データも公開しますので是非、設定をチェックしてみてほしいと思います。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。