前回までのところで、シンセアレンジの概要を一通り紹介しましたので、これからはもう少しテーマを絞った形で進めていきましょう。
今回はシーケンス系フレーズの入れどころのポイントを中心に解説したいと思います。
アレンジのベースとなるトラックについて
まずアレンジの土台となるトラックについて解説します。
アレンジを行なう元となる状態のデモサウンド。
トラック構成はドラム、ベース、シンセのコードリフとなっていますが、ドラムトラックはキックとハイハットをHive 2のプリセット“AZ 909 Kick”と“GZ Close Hat 1”を使用して図のようなフレーズを別々に打ち込んでループさせています。
このキックに合わせてシンセベースをHive 2のプリセット“AZ Controlled”を使用して図のようなフレーズを作成しました。
シンセのコードリフも同じくHive 2によるものですが、使用しているプリセットは“Blisswave”です。元々は最初の2小節の単純なループでしたが、和声的な変化をつけるため、図示している部分のように変化させました。
ここまでで核となる部分ができたので、ここからどうするか?というのが今回のポイントとなります。
シーケンスフレーズを入れてみる
ここまでのトラックを再生してみると、全体的に淡々とした演奏に感じられると共にリズム自体の動きが少ないため、もう少し動的なフレーズが欲しいところです。
そこで、シーケンスフレーズを入れてみるため、Hive 2のプリセットからイメージに合うものを選び、ここではプリセット“BJN My Beloved One”をチョイスしました。
このプリセットは2小節パターンのフレーズになっていたのですが、毎回2小節ごとに同じフレーズが入るのを避けるため、図のように打ち込んでいます。
このように打ち込むことでフレーズの開始タイミングと演奏の長さを調節しています。
ただし、このワザはフレーズの長さは自由に設定できますが、フレーズの最初から再生されますので、フレーズの途中の一部だけ使いたい、というような場合には不向きであることを付け加えておきましょう。
プレイバックとチョイ足しエディットを加える
このシーケンスパートを加えてみたところ、少しディレイの余韻が長く、サウンドが少し濁るように感じられました。また、少し明るめの音色になるようにチョイ足しエディットを行なっています。
実際に変更したパラメータはディレイのWidth、Feedback、Mixを調整し、ポイントはFeedbackを少なめに調整することです。これによってディレイの余韻が短く、薄くなることで和声的な濁りを少なくすることができます。
また、音色の明るさは、Filter1のカットオフをオケを再生しつつ、調整しています。
ここまでの状態は参考音源例で聴き比べてみてください。
シーケンスフレーズのトラックを加えた状態。ディレイのかかり具合の調整がポイントとなる。