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u-heのイカしたサウンドを曲作りに活かす vol.10

リズムトラックの上モノシンセパートアレンジの3回目は、アレンジを進めている過程での音色やフレーズの差し替え方などについて解説したいと思います。

アレンジ過程における音色やフレーズの差し替えについて

少々話の時間軸は戻りますが、前回、前々回に作成したフレーズに至るまでには、色々な音色を選びながら、曲の雰囲気やアレンジの方向性などを考えて進めてきました。

その過程でHive 2のプリセットをあれこれ変えながらフレーズを色々弾いて考えていた時に選んだプリセット音色“HS Ray of Hope – lead”がヒントとなっています。

アレンジの元となったHive 2のプリセットの“HS Ray of Hope – lead”を表示させた状態。

この音色でデモサウンド(音源:u-he_demo_004_04)のようなモチーフを作成しました。この音色によるフレーズは図のような感じに打ち込んでいます。

モチーフとなった打ち込みフレーズはこのようになっている。

このプリセットはノコギリ波系のアナログシンセ風のリード音色にSE的なシーケンスフレーズがフェードインしてくるレイヤー音色です。リズムトラックに合わせて単音で演奏するだけで世界観ができました。

このモチーフからシンセリード音色部分はパッド系のフレーズ、シーケンス的な音色部分はプラック系のアルペジオに置き換えて前回までのようなアレンジを進めた、というワケです。

さて、このように進めていく中で、元となったこのモチーフも音色的にイイ感じでしたので、部分的に活かせないかと思い、試しに前述の2パートと共に同時に演奏させてみました。

シンセパートが3パートになると、一気に曲の雰囲気がにぎやかになり、全体が活性化してくる反面、常に一緒に演奏が続いていると曲の進行が単調になります。

そこでこのフレーズは最後にワンポイントで出てくるように構成を組み立て、バランスやパンなどを調整したトラックがデモサウンドとなります。

アレンジのモチーフとなったプリセットの“HS Ray of Hope – lead”によるフレーズを加えたトラック

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。