アルペジエーターを活かしたサウンドメイク(後編)
前回に引き続き内蔵アルペジエーター機能を使用したサウンドメイクについて解説したいと思います。 今回はフィルターセクションやEGの設定、アルペジエーターの設定のポイントなどについて紹介しましょう。
フィルターセクション、EGの設定について
フィルターは、
フィルター1:ローパスフィルター → フィルター2:ハイパスフィルター
となるように直列で使用しています。
シンセベースで音圧や厚みを出す際に各オシレーターのオクターブレンジを異なる設定で作成することはよくありますが、パラメータの設定によっては低域の付近でサウンドが必要以上に膨らんだり、濁ったりすることがあります。このような時にはローパスフィルターだけでの音色調整が少々難しいため、ハイパスフィルターを併用して低域の調整を行なうことがあります。
続いてEGの設定です。
ENV 1はオルガン型のボリュームエンベロープに設定し、気持ちリリースを調整する程度ですが、その理由は後述します。
ENV 3はCutoff 1に対するEGのかかり具合(amt)やベロシティ感度は最大に設定し、フレーズをループ再生しながらディケイタイム(dec)とサスティンレベル(sus)を調整していきました。特にこの2つのパラメータ設定は音色全体の質感に影響するため、トライ&エラーを繰り返しつつ設定しています。
アルペジエーターの設定について
さて、肝心なアルペジエーターの設定は図4のようになっています。
ベースのフレーズは、上モノ楽器を載せやすいようにコードのルート、4度、5度、7度の音(それぞれのオクターブ違いの音も含む)を使用して作っています。
設定のポイントは、gateによる演奏する音符の長さの調整と、レガート演奏のニュアンスを得るホールドスイッチの入力箇所です。前述のEGの設定でENV 1がオルガン型にしていたのは、アルペジエーター上のgate調整で音価を調整しやすくするためです。これらの調
整に加えてベロシティの設定を行なうことによって、ベースのグルーヴ感を演出することができます。
実際にどのようなサウンドになったのかはデモサウンドを聴いてみてください。
Spireをお持ちの方は、今回の音色のプリセットデータを用意していますので、ぜひ本文と併せてチェックしてみてください。
Spire Topics & Tips – vol.29/30 プリセットファイル:Funk Synth Bass
↑ からダウンロードされる「Funk-Synth-Bass.spf2_.zip」ファイルを解凍後、現れた「Funk Synth Bass.spf2」ファイルを、SpireのPreset Managerの「Import」から読み込みます。
なお、アルペジエーターの解説については“Spireでゼロからのサウンドメイク”の
- vol.34-36「ビンテージベースマシンサウンドをSpireで作るには?(その1~3)」 (vol.34 / vol.35 / vol.36)
- vol.37-39「アルペジエーター機能を活かしたエスニック風音色(その1~3)」(vol.37 / vol.38 / vol.39)
あたりでも機能の解説をしていますので、併せて参考にしてみてください。