TB-303サウンドをシミュレートするポイントも最後になりますが、今回はアルベジエーターの設定方法とエフェクト、EQなどの設定について解説しましょう。
<デモサウンド>
TB-303をシミュレートした音色作成例です。演奏しているフレーズはSpireのアルベジエーターによるものです。また、フレーズは同じフレーズを繰り返していますが、4小節ごとにCUBASEのオートメーションでエフェクトをシェイパー → フェイザー → ディレイの順で追加しています。エフェクトが追加されたことによるサウンドの変化に注目して聴いてみてください。
アルベジエーターの設定
Spireのアルベジエーターはステップシーケンサーとしても使用できるため、TB-303をシミュレートするのに非常に適しています。各パラメータについては、マニュアルを参照頂くとして、今回作成したフレーズの設定ポイントを見ていきましょう。
やはり実機のスライド機能を使用したニュアンスが最大のポイントとなりますが、GUI中の各ステップで表示、非表示が設定できる右向きの矢印ボタン(=ホールドボタン)を使用することで近いニュアンスが得られます。
また、実機のアクセントに相当するニュアンスはGUI下部の棒グラフ状になっている部分で設定します。この部分はシーケンスにおけるすべてのノートのベロシティ値の設定を行ない、フレーズの強弱を表現することが可能です。
エフェクト、EQの設定
前々回(Vol.34)で説明した通り、今回の音色はオシレータ1基で作成していますので、音圧感や厚みなどは非常に出し辛いと言えます。
実機のサウンドにこだわらなければ、オシレータを複数使用したり、ユニゾンデチューンなどを使用すれば、分厚いシンセベースサウンドは作成できますが、忠実なシミュレートを行なうというのが前提の場合には、エフェクト設定やEQ設定で調整しましょう。
元々実機の場合でも、外部エフェクターを使用した音色を変化させたり、Devil Fishと呼ばれる実機に様々な改造が施され、チューンナップされたモデルなどもありますので、エフェクトは積極的に使用していくと良いでしょう。
使用するエフェクトは歪系やコンプ、リミッターなどのダイナミクス系、フランジャー、フェイザーなどのモジュレーション系などの他、独特の空気感が演出できるのでディレイなども適しています。
今回の音色では、シェイパー、フェイザー、ディレイを加えてみました。
また、エフェクトを加えると、音痩せや周波数分布に偏りが生じるなど音質的な変化が起こるため、EQで適宜ブーストとカットを行なうと良いでしょう。もちろん、音量調整やアタック感の強調などを目的とした積極的なサウンドメイクもオーケーです。
<音色データ>
今回作成してるサウンドのプリセット・データ(音色データ)です。
以下のリンクをクリックしてダウンロードされる「303_SynthBass.spf_.zip」ファイルを解凍後、現れた「303 SynthBass.spf」ファイルを、SpireのLoad Presetから読み込みます。
- 303 SynthBass(約1KB)