ビンテージベースマシンといえばハウスやテクノなどでよく使用されているRoland TB-303が思い浮かぶ人も多いと思います。
今回は、この名機のサウンドをSpireでシミュレートする際のポイントを紹介していきましょう。
<デモサウンド>
TB-303をシミュレートした音色作成例です。演奏しているフレーズはSpireのアルベジエーターによるものです。また、フレーズは同じフレーズを繰り返していますが、4小節ごとにCUBASEのオートメーションでエフェクトをシェイパー → フェイザー → ディレイの順で追加しています。エフェクトが追加されたことによるサウンドの変化に注目して聴いてみてください。
TB-303とは?
TB-303について最初に簡単に紹介しておきましょう。本体のオシレータ部はノコギリ波と矩形波のいずれかを出力し、カットオフ、レゾナンスに加え、エンベロープモジュレーション、ディケイ、アクセントといったシンプルなパラメータを調整してベースサウンドを作り、本体のステップシーケンサーにフレーズを入力して演奏させる、といった使い方ができるものです。それらに加えて、「スライド」機能の使用による打ち込んだデータに付加するピッチ変化表現と、前述のアクセントの設定と相まって作り出されるフレーズの独特のサウンドが唯一無二であり、それが名機たる魅力になっています。尚、詳細については文字数の関係で割愛させて頂きたいと思いますが、もっと詳しいことが知りたい、という方はTB-303をキーワードにして検索サイトで探して頂いたり、ウィキペディアの項目「ローランド・TB-303」などをチェックしてみてください。
Spireでシミュレートする際のポイント
最初に大まかなサウンドメイクのアウトラインを見ていきましょう。
オシレータは1基使用し、クラシックモードのノコギリ波、ないしは矩形波を選びます。これにフィルター調整、EGでベースらしい減衰音の時間的変化を設定すれば、ほぼ出来上がりに近い状態となります。シミュレートを行なう際のポイントは、アルベジエーターを活用したフレーズ作りとなります。
オシレータセクションの設定
オシレータセクションは、非常にシンプルです。前述の通りオリジナルに忠実なシミュレートを行なうのであれば、オシレータモードをクラシックモードに設定し、ノコギリ波か矩形波のいずれかの状態にすれば、ほとんど原形は完成です。
後は演奏しやすい音域にオクターブ設定を施せば良いでしょう。音色自体はオシレータを1基しか使用していないので音圧感や厚みなどは非常に出し辛いのですが、エフェクト設定やEQ設定で補強を行ないます(後述のため、ここでは省略します)。
ここでノコギリ波と矩形波どちらを選べばよいかについて参考程度に紹介しましょう。ノコギリ波を使用した場合は、どちらかというと鋭いエッジの効いたベースサウンドに向いていると言えます。それに対して矩形波を使用した場合は、どちらかというと太くどっしりとしたベースサウンドで音圧感を出したい場合に向いているでしょう。あくまでも個人的かつ感覚的な違いですが、自分の場合は、経験的な観点からこのような違いということを前提に選んでいます。
<音色データ>
今回作成してるサウンドのプリセット・データ(音色データ)です。
以下のリンクをクリックしてダウンロードされる「303_SynthBass.spf_.zip」ファイルを解凍後、現れた「303 SynthBass.spf」ファイルを、SpireのLoad Presetから読み込みます。
- 303 SynthBass(約1KB)