u-he製品をABC順に紹介している本連載。
今回は順番通りテープ・マシン・エミュレータ、SATINのその3をお送りします。
SATINその2の終わりに予告した通り、今回はLower Panelの解説をしたいと思います。
SATINについての記事はその1とその2も合わせてご参照ください。
その1でサラっと触れましたが、SATINはUpperパネル、Lowerパネル、Serviceパネル、3つのパネルに機能が分かれています。
その中でLowerパネルはStudioモード、Delayモード、Flangeモードから機能を選択して使用できます。
テープ・マシンの機能を活かしたそれぞれのモードは中央のプルダウンメニューをクリックして選択します。
Studio Mode
このモードがSATINを使用するノーマルモードです。
ディレイやフランジの効果が必要ない場合は常にこのモードを選択してください。
speed ips:テープの回転速度を設定します。放送関係の一般的なipsは7.5、倍速で15ips、レコーディング関係では30ipsが使用されます。
Pre-Emphasis:高周波になるに従って増えるノイズを補正するために調整する値。
No Group:SATINのデフォルト。すべてのグループを無効にします。
Bypass Tape:TAPEセクションをバイパスします。コンパンダー、レコード、リプロサーキットセクションは有効です。このボタンの状態はDelay、Flangeモードでは無視されます。
Groups 1-8:スタジオモードではSatinをmulti-track processorとして使用する場合に8グループのうちひとつのグループを使用します。
Compander Mix:基本的にはMaxに設定し、エンハンサー効果を狙う場合に数値を下げます。
Compander Encoder:一般的に良く知られているエンコーダー5種類から選択できます。
Compander Decoder:Encoderと同じ5種類に加えて、常にEncoderと同じデコーダーを選択するSame as Encがあります。
Delay Mode
ディレイモードは上のRepro Hedsが2の場合の他、Repro Headsが4の場合の2つのインターフェイスがあります。
2/4それぞれはRepro Headsの数とメニュー配置が違いますが、操作方法は同じです。
2、4という数字はざっくりディレイ(やまびこ)効果の数だと思ってください。
Report Heads 2/4:ディレイに使用するRepro Headsの数
Speed ips:テープの回転速度を設定します。放送関係の一般的なipsは7.5、倍速で15ips、レコーディング関係では30ipsが使用されます。
Tempo Sync:Repro Headsの位置を相対的に近似値のビートに変換してシンクします。
Routing:Multi-Monoはステレオ内のそれぞれのアウトプットを自分自身のインプットに戻します。Crossはアウトプットを別のインプットに戻し、Ping-Pongはモノから始まりピンポンを開始する側をLまたはRで指定します。
Distance:レコードヘッドとリプロヘッドの距離を設定します。距離が大きいほどディレイ音は長くなります。
Mod Rate/Amt:Distanceの距離をサイン波LFOでモジュレート可能。Rateで速度、Amtで適用量を調整します。
Balance:ステレオイメージの定位を調整します。
Level:ディレイ音のボリュームを調整します。
Mix:ソースとディレイ音のミックスバランスを調整します。
Feedback:ディレイのフィードバック量を調整します。
Limit:極端な設定を行った際のフィードバックループ時などに、リミッターを適用します。
Low Cut:ハイパスフィルター。左に振り切ってフィルター効果なし。
High Cut:ローパスフィルター。右に振り切ってフィルター効果なし。
Flange Mode
テープフランジは一般的なLFO制御のレゾナントフェージングのフランジャーとは大きく異なり、曲中の特別な瞬間にドラマチックなシュワーという効果を与えます。
好例はジミ・ヘンドリクスのBold as Loveなど。
Speed ips:テープの回転速度を設定します。放送関係の一般的なipsは7.5、倍速で15ips、レコーディング関係では30ipsが使用されます。
Trigger:押すたびにオートマチックフランジスイープを開始します。
Manual Flange:茶色のスライダーを操作してマニュアルフランジ効果を与えます。
Fade:Inで中央までのスピード、Outで中央からのスピードを個別に設定します。
Multiply:Fadeで設定した値を0.1倍から2倍の範囲で調整します。
Shape:Fade、Multiplyで設定した値で動作中のエンベロープを調整します。12時方向で直線的、右方向で徐々に速く、左方向で徐々に遅くというように変化します。
Range ms:2台のテープマシン間の最大遅延時間を調整します。
Phase Invert:クリックして有効にするとフェーズを反転させます。
Flangeモードでは特にTriggerやManual Flangeの操作がカギになると思います。
GUI上でクリックしてももちろん良いのですが、MIDIコントローラを使用することでより感覚的に操作できるのではないでしょうか。
MIDIコントローラのラーニング方法は他のu-he製品と同様で、画面右上の歯車のマークをクリックし、ラーニングモードに変更した状態で、ラーニングしたい項目(TriggerボタンやManual Flangeのスライダ)をクリックした後、コントローラを操作してMIDI信号を送信すること設定します。
設定を完了したら右上のXボタンをクリックしてラーニングモードを終了します。
SATINその3はひとまずこの辺で。
SATINに興味を持ってくれた方は製品ページからデモバージョンをダウンロード/インストールして試してみてください。
それではまた次回!