u-he製品をABC順に紹介している本連載。
23回目の今回はPresswerk解説初回に『各スペシャル・ビューの操作方法についてはPresswerk解説第2回でお伝えします』と書いておきながら、メインの解説のみで終わってしまったPresswerkその2に代わって、今回Presswerkその3でスペシャル・ビューの詳細をお送りします。
Presswerkについての情報は初回、2回目も合わせてご参照ください。
スペシャル・ビュー機能詳細解説
u-he連載vol.5、Presswerk解説初回で触れましたが、Presswerkは内部で操作がマクロ化して、ノーマルGUIで表示されている機能の一部をひとつのノブから同時に操作するようにするなどして、操作特性の異なる6種のスペシャル・ビューがあります。
スペシャル・ビューはプリセット名称右下のプルダウンメニューから切り替えます。
上画像黄枠部分のメニューをクリックすると、プルダウンメニューが表示され、5種のコンプレッサーとひとつのリミッターが選択できます。
順番にGUIと機能を見ていきます。
Easy Compressor
Presswerkを最も簡略化した形。
操作が容易でインストゥルメントトラックのダイナミクスを素早くコントロールしたい場合にはベスト。
どのような素材にも適していますが、ギターやベースには特に相性が良いです。
THRESHOLD:スレッショルド・レベルを調整します。この値を超えた信号を圧縮します
RATIO:THRESHOLDノブで設定した値を超えた信号を圧縮する割合を調整します
RESPONSE:アタックとリリースを組み合わせたようなノブ
OUTPUT:アウトプットレベルを調整します。+-30dB
SOFT CLIP:有効にすると波形のピーク部分を緩やかにし、デジタルクリップを回避します
Vocal Compressor
コンプレッサー処理の中でも強力で迫力のあるボーカル・ダイナミクス処理を手動で行うのは繊細な作業なため、Vocal Compressorでは主にボーカルトラックを少ない操作で最良な結果を出せるよう操作を単純化しています。
INPUT:インプット信号を調整します。調整幅は+-40dBで自然なドライブを得ることができます
ENHANCER:ハイパスフィルターを通したドライ信号をブレンドすることで、極度に圧縮した場合にもクリアなサウンドを保ちます
RATIO:信号を圧縮する割合を調整します
DE-ESS:ディエッサー(サ行の音を取り除く)をOn/Offします。
RESPONSE:アタックとリリースを組み合わせたようなノブ
OUTPUT:アウトプットレベルを調整します。+-30dB
Drum Compressor
その名の通りドラムのダイナミクス処理に最適なコンプレッサー。
活発さ、速さ、太さを備えたコンプレッサーが必要ならこれ。
INPUT:スレッショルドは固定で、全体の信号レベルと圧縮の開始ポイントを設定します。調整幅は+-40dBで自然なドライブを得ることができます
RATIO:信号を圧縮する割合を調整します
RESPONSE:アタックとリリースを組み合わせたようなノブ
SATURATION:信号を過入力することで飽和させサウンドに歪みを与える
SIDECHAIN:ハイパスフィルターのカットオフ周波数を調整します。調整幅は10.0Hzから10.00kHz
MIX:SidechainとDrum Compressorのミックスバランスを調整します
SOFT CLIP:有効にすると波形のピーク部分を緩やかにし、デジタルクリップを回避します
OUTPUT:アウトプットレベルを調整します。+-30dB
Bus Compressor
Drum Compressorよりも攻撃的ではない、ナチュラルなサウンド。
ATTACKとRELEASEを独立して備えています。
SIDECHAIN:ハイパスフィルターのカットオフ周波数を調整します。調整幅は10.0Hzから10.00kHz
RATIO:信号を圧縮する割合を調整します。2/4/8から選択します
THRESHOLD:スレッショルド・レベルを調整します。この値を超えた信号を圧縮します
ATTACK:スレッショルドを超えた信号をRATIOで設定した音量まで圧縮する時間
RELEASE:信号がスレッショルド以下に下がってからコンプレッサーの効果が消えるまでの時間
ADAPT:アダプティブリリーススイッチ。有効にするとリリースの設定を半自動化し、リリース設定の手助けをしてくれます
OUTPUT:アウトプットレベルを調整します。+-30dB
SOFT CLIP:有効にすると波形のピーク部分を緩やかにし、デジタルクリップを回避します
MIX:SidechainとBus Compressorのミックスバランスを調整します
MS Program Compressor
ステレオソース内の信号をミッドとサイドに分けてコンプレッサー処理を行います。
Sidechain:ハイパスフィルターとローパスフィルターのカットオフ周波数を調整します。調整幅は10.0Hzから10.00kHz
Input:スレッショルドは固定で、全体の信号レベルと圧縮の開始ポイントを設定します。調整幅は+-40dBで自然なドライブを得ることができます
Compression:スレッショルドとレシオを組み合わせたようなノブ
Response:アタックとリリースを組み合わせたようなノブ
Output:アウトプットレベルを調整します。+-30dB
Touch Link:上下にドラッグすることで、ミッドとサイドそれぞれの対応するノブを同時にコントロールできます
Limiter
Presswerkをブリックウォールリミッターとして動作させます。
MODE:Smooth、Balanced、PunchyからLimiterのモードを選択します
Smooth:早いトランジエントをフォローするために十分なlookaheadディレイ。歪みは最小
Punchy:わずかなプリディレイのみ使用する。リカバーはかなり早く、ベースを目立たせる
Balanced:SmoothとPunchyの間の特性。様々なソースに使用しやすい
INPUT:スレッショルドは固定で、全体の信号レベルと圧縮の開始ポイントを設定します。調整幅は+-40dBで自然なドライブを得ることができます
THRESHOLD:スレッショルド・レベルを調整します。この値を超えた信号を圧縮します
OUTPUT:アウトプットレベルを調整します。+-30dB
RELEASE:信号がスレッショルド以下に下がってからリミッターの効果が消えるまでの時間
SATURATION:信号を過入力することで飽和させサウンドに歪みを与える
以上がスペシャル・ビューの機能です。
それぞれの目的に合ったスペシャル・ビューを併用することで、難しすぎることも考えすぎることもなく音圧を調整しやすくなると思います。
コンプレッサーや音圧の調整に馴染みのない人には、初めの一歩としてもおすすめのPresswerk。
興味がわいた人は製品ページからデモバージョンをダウンロード/インストールして試してみてください。
それではまた次回!