INSPIRATA ユーザーマニュアル(実践的な応用 – 3)

INSPIRATA ユーザーマニュアル(実践的な応用 – 3)

実践的な応用 – WET / DRY、およびDIRECT / REVERBERANTの調整

INSPIRATAにおいて、「WET(ウェット) / DRY(ドライ)」と「DIRECT(ダイレクト) / REVERBERANT(リバーブ)」では非常に重要な違いがあります。実際の音響空間では、音源の出力する直接音と、反射による部屋の残響音の2つのバランスで音を聞き取ることができます。音源に近づくとダイレクトな音になり、部屋の奥に行くとリバーブが多く、ダイレクトな音が少なくなります。また、実空間での直接音は、部屋の中の自分の向きや距離に合わせて、特定の方向とレベルを持ちます。多くのリバーブプラグインでは、WET音は単にリバーブによって処理されたサウンド、DRY音とは処理されずにバイパスされた音で、その2つがミックスされています。しかし、このままではパンやゲインを合わせたくても、未処理のDRY音は部屋にいるようなマッチングが得られずに、リアルな結果にならない可能性が高いです。INSPIRATAでは、WET / DRYは処理済み / 未処理を表し、DIRECT / REVERBERANTは、残響と比較して直接音からどれだけのエネルギーが発生するかを意味し、両方を個別に変更できます。

通常、INSPIRATAを使用する場合は、100% WETに設定して、INSPIRATAが直接音を適切に処理できるようにします。サウンドを近づけたり遠ざけたりする場合は、DIRECTとREVERBERANTのレベルを調整するか、リスナーの位置を近づけるだけでよいでしょう。こうすることで、サラウンドの音響空間で直接音が自動的に正しくパンニングされ、正しくレベリングできます。その代わりにWET / DRYスライダーを使用すると、「ダイレクト音」は実際の空間でのサウンドとは大きく異なる可能性があり、さらに2つのダイレクト音が互いに競合する可能性があります。1つは未処理のシグナルチェーンからのもので、もう1つはINSPIRATAでサンプリングされたリバーブからのものです。残響のない完全に減衰した部屋にドライ音を配置しても、仮想音源とリスニングポジションに対応する距離とドライパン情報があります。これは、INSPIRATAがドライサウンドを処理することでケアすることができます。つまり、音響空間で正しい角度や高さからダイレクト音を出すには、ドライ音の処理が必要で、INSPIRATAはそれを自動的に行うということです。WET / DRYを100%から減らすと、この処理はバイパスされます。

INSPIRATAをインサートエフェクトとして使用したり、5.1にアップミキシングしたりする場合は、空間の最も自然なサウンドを得るために、WETは100%のまま、DIRECT / REVERBERANTを調整して目的のサウンドを探してください。

INSPIRATAをAuxバスのセンドエフェクトとして使用する場合、WET / DRYスライダー調整に慣れるまでは注意が必要かもしれません。 100% WETにしたまま、DIRECT / REVERBERANTスライダー(必要に応じてDistanceやClarityなどの他のコントロールも併せて)を調整することをお奨めします。