Sugar Bytes製品の解説を行なっている本連載。
前回でようやくObscuriumまでの現在販売中のソフトウェア解説を一巡しました。
今回から数回は以前の解説で少し端折った解説を行なってみたいと思います。
まずはLooperatorのエフェクト詳細とユーザー定義について。
この連載の第一回目に紹介したLooperatorですが、その時の文末に『エフェクトの詳細設定やユーザー定義などの設定についてはまた別の機会に』と書いてありましたが、その機会が今回やってきたのです。忘れていたわけではないです。断じて違います。
Looperatorがどのようなソフトウェアかご存知ない方は、まずはSugar Bytes社が作成したチュートリアル動画を見てみてください。
動画の解説は日本語ではないので、合わせて以前の記事も読んでもらえると判りやすいと思います。
エフェクト設定を自在に操る!
Looperatorは入力されるオーディオインプットをスライスして、そのひとつひとつのスライス単位に様々なエフェクトを掛けるというもので、以前Looperatorを紹介した際に一通り操作方法を解説しました。
今回は更にLooperatorを使いこなすためのエフェクトの詳細を設定するメニューと、覚えておいて損はないちょっとしたことについて紹介します。
まずはLooperatorのパッと見。
このようなソフトウェアです。
オーディオインプットが16分割されて波形表示されているのが見えると思いますが、その下にSLICEやFX1、FX2といった各エフェクトが並んでいて、1から16のスライス(ステップ)でどのようにエフェクトを適用するかを決めるというのは前回解説した通りですが、INPUT表示とSLICE以外のエフェクトは、名称右にUと歯車のマークが表示されています。
これをクリックすると、各エフェクトの詳細設定ページが開きます。
画像はFX1の詳細を表示しているところです。
U1U2U3U4と大きく表示されているのが見えますが、これは各ステップでエフェクトを選択する際のユーザー設定と対応しています。
ステップ側でU1からU4を選んだ時にどのようにエフェクトが掛かるかを設定できる詳細が各エフェクトごとに用意されているというわけですね。
U1からU4という表示をクリックするとそれぞれの設定に表示が切り替わりますが、それぞれに共通して右上にサイコロ(ランダマイズ)、RESET(初期化)、COPY(コピー)、PASTE(ペースト)があります。
ランダマイズとリセットは説明不要だと思いますし、コピー&ペーストも説明不要だと思いますが、例えばU1を表示してCOPYを押して、U3を表示してPASTEを押すと、U1のエフェクト設定がU3にコピーされるということになります。
バリエーションを作りたい時などに便利な機能です。
FX1とFX2では更にU1U2U3U4それぞれのすぐ下に現在のエフェクト名称が表示されています。
先程の画像ではVINYLと表示されていましたが、その部分をクリックするとエフェクトを変更できます。
DELAY、REVERB、DISTORTION、GRAIN、TONALIZER、PHASER、VINYL、CHAOSSYNTH、REVERB 2、RINGMODULATIONの10種類があり、選択したエフェクトによって詳細ページの操作項目等も変化します。
各エフェクトの詳細設定メニューは全部事細かに解説するには少し量が多過ぎるので、Delayを例に紹介します。
どの辺りに選択可能なメニューがあって、それをどのように設定するか?というのは共通点も多いので参考にしてください。
U1でDelayを選んでみました。
すると、DelayL、DelayR、Feedback、Pitch、Mixという5つのメニューと5つの大きなノブが並んでいます。
各メニュー名称の下にParameterと表示されているのが見えますが、このParameterというのがノブを表しています。
Parameterという部分をクリックするとこのようなポップアップが表示されます。
Looperatorらしくアイコンで表示されているので判りやすいですが、左下のノブのアイコンがParameterです。
Parameterの右にあるEnv F.はエンベロープフォロワーで、選択すると先程の大きなノブがこのように変化します。
Env F.は設定するエフェクトによって左上の値が変わります。
ここではDelayのDelayLのメニューをEnv F.に変更したので、ノブにもDelayLと表示されていますが、このノブでDelayタイムを設定して、右のDirectionノブでEnv F.の掛かり方をポジティブ/ネガティブを設定します。
12時方向で0、そこから右に回してポジティブ、左に回してネガティブです。
Attack/ReleaseはEnv F.のアタックとリリースを調整します。
ランダム(サイコロ)以外のエンベロープのアイコンを選択した場合にはこのように変化します。
ここでは2stepという矩形波のようなエンベロープを選択してみましたが、左右のスライダで最小値と最大値を選択します。
Delayで使用する場合、このエフェクトを掛けたステップとタイの使用状況によって効果がだいぶ変わってくるので、慣れるまでは感覚が掴みづらいかも知れませんが、このエフェクトを有効にしたステップの長さが例えば一拍だったとして、この画像の設定では1/8経過後に1/64に変化するディレイということになります。
これはDelay以外のエフェクトに使用した場合にも言えることですが、ステップの長さ以外にも左上のノブとDirectionのノブの設定によっても効果が変わってくるので、文章では説明がとても難しです。
Looperatorユーザーさん以外は是非デモバージョンをインストールして体感してみてください。
一番下のSyncとある部分もクリックするとポップアップメニューが表示されます。
ここではDelayのSyncメニューなのでシンクに関するメニューが表示され、DelayをBPMに同期するかフリー(msで設定)で走らせるかを設定します。
TPとついているものはトリプレットや付点の長さにシンクする場合に使用します。
この項目は選ぶエフェクトの種類によってピッチを設定したりスケールを選択したり、フィルターのタイプを選択したりなど、そのエフェクトごとのメニューに変わります。
一番右のMIXメニューはどのエフェクトを選択した場合にも表示されますが、拡張メニューはエフェクトによって多少異なります。
通常のDry/Wetバランス以外に、パンを同時に調整するものやMIX方法が若干異なる機能を選べるものがあるので狙う効果によって試してみると面白いです。
ユーザーエフェクトの設定をする際に覚えておきたい機能に『Solo Mode when in User Edit』というものがあります。
Looperator画面右下の歯車のマークをクリックして表示されるポップアップメニューで同名称のチェックを入れると有効になるのですが、これはユーザーエフェクトの設定モードでU1からU4のどれかを選択している間、エフェクトシーケンスの設定を無視してそのエフェクトをソロで掛けっぱなしにした状態にします。
エフェクトの選択や調整を行なう時には常に掛かっていてくれた方が都合が良い場合も多いのでお好みで有効にしてみてください。
ちょっとしたことですがちょっとだけ
エフェクトのMIXに触れましたが、画面下の歯車のすぐ左にはLooperator全体のDRY/WETのミックススライダーとバイパススイッチがあります。
この画像のMix Linearと表示されている部分をクリックすると、全体のMIXのタイプも変更することができます。
以下のような違いがあります。
Linear:通常のクロスフェード。中央に設定するとDRY/WETが50%/50%
Equal:Linearと異なり中央に設定するとDRY/WETがそれぞれ加算されるので設定によってはボリュームが増加する
Wet:DRY信号が常に再生されている状態からWET信号のバランスのみ調整
Dry:WET信号が常に再生されている状態からDRY信号のバランスのみ調整
Wet(Only):WET信号の音量を調整。DRY信号は再生されない
Wet Pan:WET信号のパンを調整。DRY信号は再生されない
Wet Pan2:Wet PanにDRY信号も再生される
使用するエフェクトや掛け方によって相性の良し悪しがあるのでいといろ試してみると意外な発見があるかも知れません。
最後に本当にちょっとしたことですが、エフェクトのシーケンスのメニューの並び順について。
エフェクトのタイトルにカーソルを合わせると上下の三角印が表示されます。
そのままエフェクト名称をクリックホールドして上下にドラッグすると、好きな場所に移動できるのでエフェクトの並び順も好みで変更することができます。
Looperatorのプリセットをどんどん切り替えていくと、プリセットによってエフェクトの並び順も様々なのが確認できると思います。
次回もこれまでのSugar Bytes紹介記事の補足解説を行なう予定です。
よろしくどうぞ!