SugarBytes製品の解説を行なっている本連載。ここ暫くはObscuriumの解説を行なってきました。
Obscuriumは独特な世界観を持つSugar Bytes製品の中でも特に異質と言わんばかりのソフトウェアなので、他の製品よりもずいぶん回数を重ねてきましたが、今回12回目にしてひとまず終了です。
Obscurium解説暫定最終回の今回は少し細かい話しを幾つか紹介したいと思います。
まずはモーションシーケンスで作成したフレーズを試聴する際のお話しです。
バーチャルキーボードで試聴をするです
Flexible Parametersの値をモーションシーケンスというステップシーケンスのオバケのようなものに記録して、そのシーケンスをMIDIノートでトリガーすることでダイナミックに動きのあるサウンドを作り出すというものですが、Obscuriumに限らずステップシーケンスの入力をする時はこまめにMIDIノートを入力してフレーズやその他の結果を確認しながら行ないたいものですよね。
そのような時、MIDIキーボードが接続されているならキーボードを演奏すれば済みますが、MIDIキーボードをお持ちでない場合や、移動中などのちょっとした空き時間にコンピュータだけ起動してちょっとフレーズを作成したい、または手直ししたい場合などではObscuriumのバーチャルキーボードが役に立ちます。
Obscuriumのバーチャルキーボードは画面最下段に表示されています。
上の画像はバーチャルキーボードのE3キーをマウスでクリックしているところです。
Obscuriumのバーチャルキーボードはクリックしてノートを入力したキーは鍵盤表示全体が明るく点灯します。
それ以外のドットで表示されているものは、入力したノートからモーションシーケンスの設定に応じてアルペジオ等が演奏されているノートを表していて、赤がルートノート、青がそれ以外のノートです。
バーチャルキーボードを搭載しているソフトシンセは特に珍しくもないと思うので、ここではObscuriumらしい機能を紹介したいと思います。
キーボード入力に限らずマウス入力の最大の欠点のひとつに、同時に複数箇所の入力を行なえないというものがあると思います。
Obscuriumは特に、一般的なステップシーケンサーとは異なり和音入力もキーポイントになるので、やはりMIDIキーボードが必須か…と思いきや、マウスのみで和音というか複数ノートを入力できるように配慮されています。
通常のクリックでは、マウスやトラックパッドをクリックホールドしている間だけノートが入力されますが、右クリックした場合はトグル化するので、1ノートずつ右クリックしていくことでコード等の複数のノート入力を行なうことができます。
Macintosh環境の場合、control+クリックではこの機能は有効にならないので、トラックパッドで2本指クリックの機能を有効にしておくか、マウスを使用して右クリック入力を行なってください。
フィルターとモーションシーケンス
Flexible Paramaterとモーションシーケンスの関係については都度都度触れてきましたが、最後にフィルターについて少し触れておこうと思います。
通常シンセサイザーといえばフィルターは切っても切れない重要な要素のひとつだと思いますが、Obscuriumには一般的なシンセサイザーのようにFilterというメニューというか、ユニットが見当たりません。
ObscuriumのFilterは初めからモーションシーケンスと組み合わせる前提で作られているため、Flexible Parameter最下部に組み込まれています。
CUTOFF(カットオフ)とRESO(レゾナンス)は特に説明の必要はないと思いますが、ここではTYPEのモーションシーケンスを設定できるのが面白いところです。
Flexible ParametersのTYPEを選択した状態でモーションシーケンス左を見ると、下からLOWPASS、BANDPASS、HIGHPASSとなっています。
フィルターのカットオフをノブでグリグリしたいという人には、カットオフのノブ自体がなく、モーションシーケンスに記録して動作させる前提なので少し戸惑う面もあるかも知れませんが、逆に実際にノブを操作していたらできないようなトリッキーな動作や、基本的にオートメーションで規則的に操作したいという場合にはとても相性が良いと思います。
といったところでまた次回。
お楽しみに!!