Sugar Bytes製品から毎週1製品ずつピックアップしてお送りしている本連載。
6回目7回目とエフェクト製品が続きましたが、今回も更にエフェクトラインナップからお送りします。
とはいえ、他のLooperatorやTuranado、EffectrixやArtillery2など、これまで紹介してきたポップでカオスなSugar Bytes製品と比べるとだいぶ毛色の異なるVOGUEを紹介します。
製品のジャンルとしてはマイク・プリアンプ・シミュレータとなっていますが、チャンネルストリップにディレイとリバーブがついたマルチエフェクター的な捉え方でも良いかもしれません。
まずは先にデモサウンドを聴いてみてください
VOGUEはこういう見た目のエフェクトです。
Sugar Bytesの他のエフェクト製品と比べると見た目もかなり地味ですが、効果も地味なのか?というと…そういうこともないのですが、他のエフェクトが積極的にトラックを引っ掻き回すのが得意だとすると、VOGUEはトラックの縁の下の力持ちといった感じです。
例えばDAWで作曲してレコーディングをして、さぁミックスをしよう!という時に、目立たせたいトラックが思うように目立たない。
前に出てきて欲しいのでフェーダーをどんどん上げて行くのだけど、ボリュームは上がっているのに他のトラックの音に埋もれたまま…というような経験はありますか?
ミックスの専門的な話しは世の中のもっと優れた記事を参照してもらうとしてですね、VOGUEはトラックにアナログの暖かみや独特な質感を与えたり、ミックスの中で押したい音をキッチリ押し出したり、『もう一声なぁ…』と思ったらとりあえずトラックにさしてみると良い感じになることも多いです。
1万円を切る価格帯ということもあり、一通りDAWの感覚にも慣れて、いよいよ脱初心者!!という方に特にオススメしたいですね。
このジャンルの製品は使ってみた動画よりも、きちんとした環境で作成された聴き比べのサウンドを試聴する方が理解しやすいと思うので、今回は特に動画は用意しません。
代わりに今回もちょっとしたマニュアル代わりになるような内容でお送りします。
先に興味がでた人はVOGUEの製品ページに試聴素材を用意しているので聴いてみてくださいね。
名称にDRYとつくのが原音、WETとつくのがエフェクト加工後です。
使い方をサラッと書いておきまする
VOGUEの機能は大きく別けてGATE、PREAMP、COMP、DINAMIC EQ、EFFECT、MASTERの6項目です。
順番に見て行きます。
GATE
オーソドックスなゲートです。
Thresholdで設定した値よりも大きな音だけ通すので、不要なノイズをカットしたり、逆に大胆な数値に設定して切り貼りしたようなリズムを作ったりするのにも使いますね。
Speedの値でゲートが掛かった状態から通常の状態に戻る時間を設定します。
PREAMP
Sugar Bytes社がVOGUEをマイク・プリアンプ・シミュレータと言っているところからもここがイチオシ機能なのだと判りますね。
Gain、Hipassフィルター、Overdriveのシンプル構造。
Signalの色は灰色で信号なし、緑で0db以下、赤で0db以上のオーバードライブです。
COMP
これ以上無理と言わんばかりにシンプルなコンプレッサーです。
Compressionノブでコンプの掛かりとSpeedで解放するスピードを設定します。
音量の粒を揃えるのと、若干タイトにしたりルーズにしたりという辺りに特化しています。
Graphのメーターでコンプの掛かり具合をチェックできます。
DYNAMIC EQ
3バンドマルチコンプだったりEQだったり。
High(黄)Mid(緑)Low(赤)それぞれにコンプとレベルのノブがあります。
各バンドのレベルはガツンと突っ込んでもデジタルクリップが発生しないので積極的にサウンドメイクすることもできますし、左に振り切るとKillスイッチになるので、3バンドすべてを左に振り切ると何も音が出力されなくなります。
一番上のSplit Erequencyは各帯域を表していますが、左右にドラッグすることでスプリットポイントを変更可能です。
すぐ下の横向きのフェーダーはコンプのレスポンスを設定します。
EFFECT
Filter、Delay、Reverbが用意されています。
FilterタイプはHighパス、Lowパス、Bandパスの3種類。
ModulationはEnvelopeとLFOが選択可能で、FilterとDelayとReverbそれぞれのフェーダーをモジュレーション可能です。
MASTER
マスターにはGATE、PREAMP、COMP、DYNAMIC EQ、EFFECTの個別On/Offボタンがあります。
チャンネルストリップを使う場合にも『コンプはお気に入りのがあるからいらない』ということも良くありますが、VOGUEもいらないものはバイパスできるので抜かりなしです。
それからFXリターン。
EffectのメニューでDelayやReverbをActiveにしてパラメータを上げていてもFXリターンが上がっていないと掛からないので要注意です。
FXリターンのsoloでエフェクトのみのサウンドをチェックできます。
マスターノブはもちろんマスター出力の音量で、その隣りのメーターは以下の7種類から選択可能です。
- Input Level
- Master Level
- FX Out Level
- EQ Out Level
- Preamp Out Level
- Compressor Out Level
- Dynamic EQ Out Level
冒頭でVOGUEは『いよいよ脱初心者!!という方に特にオススメしたい』と書きましたが、もちろんいきなりチャンネルストリップの各機能をしっかり判って使用するのは難しいと思いますし、逆に初めはキッチリ理解している必要もないのではないかと思うので、製品ページのデモサウンドを聞き流してみたり、デモバージョンをダウンロードして、マスターやボーカルトラック、他にも思いつくままトラックにインサートしてプリセットをいろいろ試してみてください。
細かいことは置いておいて、耳で慣れるのが一番です。
それではまた次回、お楽しみに!