個性的なライザーサウンドやFXサウンドを自由自在に作り出せるRob Papen「SynFeX」。前編では重要なパラメーターを紹介しましたが後編ではプリセットサウンドの解説とオリジナルサウンドの作例を説明したいと思います。
Preset 001 1 2 SynFeX
SynFeXをDAWにロードすると最初に出てくるプリセットです。ノイズを使った典型的なスイープ音です!
MOVEMENTのカーブは右上がりにそしてパンはLからRに移動していますエディットは要は「MOVEMENT>FILTER FREQUENCY」のパラメーターが右側に振れているのがわかります。これにより「FILTER」のカットオフの動きが徐々に開いてくる音色が得られます。この二つのパラメーターのそれぞれの加減でも多彩な音色を作る事ができます!「MOVEMENT PAN」等もいじっても動きのある音色になりますね!「MOVEMENT」の上部のカーブの向きを先ほどの右肩上がりから山形に変更してフィルターを開いてその後閉じるという動きも簡単にできます。フィルターだけでなくピッチの上げ下げもこのセクションで設定します。さらに右肩下がりにすればアタック感のあるノイズFXにもなります。
Preset 007 Boil of Texel
こちらのプリセットは「SOURCE」をNOISEではなくSAMPLEが使用されており独特なサウンドになっています。そしてサンプルの再構築を行うグラニュラーシンセシスを適用しています。サンプルを短い単位で伸ばしたり縮めたりしある意味予測不能な音色にしています。こちらのプリセットにも「MOVEMENT>FILTER FREQUENCY」パラメーターを適用してフィルターの動きを足したりしています。さらに「SOURCE」内のNOISE MIXでノイズを足してより複雑なサウンドにする事も可能です。
ユーザーサンプルを使ったオリジナルサウンド
最後にユーザーサンプルを使ったオリジナルサウンドを作ります。基本操作はドラッグ&ドロップで行いますがフォルダーにアクセスして選ぶ事も可能です。サンプルをインポート後サンプルの再生範囲を変えて使いたいサウンドを選びます。「MOVEMENT」で山形のスタイルにしてその後に再生する長さを変えて行きます。そしてこれにもグラニュラーシンセシスを適応します。リバーブやディレイで空間を演出したら「MOD」によって動かしたいパラメーターを右クリックしてソースを選びます。今回は「MOVEMENT>FILTER FREQUENCY」をFREE LFOにアサインします。最後に「SOURCE」内のサンプルのピッチを「PAN MOVEMENT」によって変化させます!これでかなりオリジナル度が高い音色になったと思います。
以上3つのプリセットを見ていきましたが、どれも理にかなっておりわずかな知識で簡単にオリジナリティあふれる音色ができます。これにより誰とも違うそして自身の楽曲に最適にフィットしたライザー、FXサウンドが作れます。もちろん今回ご紹介したものにさらにエディットを加えてもいいかもしれません!プリセットからエディットするもよし!ゼロから作り上げてもよし!自由度が高いプリセットを作る事が可能です。

田辺恵二
作編曲家
1991年
Charaのデビューアルバム [Sweet]にシンセプログラマーとして参加
1993年
古内東子のデビューアルバム、及川光博やゴスペラーズのアルバム、ツアーに音楽監督、作編曲家として参加
以降、SMAP、浜崎あゆみ、柴咲コウ、岡本真夜、AKB48、SKE48に楽曲提供
2002年、2006年に日本レコード大賞金賞受賞(編曲)。2021年【映画ゾッキ】サウンドトラック(プログラミング、録音)。2022年には中国ネット映画【狂虎危城 Mutant Tiger】劇伴(作編曲、ミックス)
現在は作家活動の他、ネットTV、MCやラジオパーソナリティ等、他分野にも精力的に活動中