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NUMA PLAYER ~無料で使える便利なバーチャル・インストゥルメント~ 【テクニック編】vol.4

アコースティックピアノ音色のエディット(2)

前回に引き続き、アコースティックピアノ音色のエディットに関して紹介したいと思います。 今回はエフェクトの設定の後編です。

図0:メインスクリーン画面

エフェクトの設定(後編)

それでは、コンプ/リミッターとディストーションの設定について解説していきましょう。

コンプ/リミッターは、音質補正としてではなく、アタック感の強調という積極的な音作りに使用します。
これによって、音圧感も増すことができるなど、存在感ある音色になります。

図1:アコースティックピアノ(パート1)EffectページのCompressor/Limiterの設定状態

設定の際には、Threshold(スレッショルド)の値がポイントにです。値が小さくなるほど(=-値が大きくなるほど)、アタック部分のみが聴こえる音になりますので、ある程度ピアノらしさが残るぐらいが目安となります。

ディストーションは図のような設定になっています。

図2:アコースティックピアノ(パート1)EffectページのDistortionの設定状態

ここでディストーションを使用したのは、ギターのパワーコードのようなサウンドを得るためではなく、元のピアノ波形をシンセピアノ的な形に変えるシェイパー的な目的で使用しています。
パラメータの設定は、和音を演奏した時に歪んだサウンドとして聴こえない程度に歪ませるのがポイントです。控えめに設定していますので、曲想などに応じて適宜調整すると良いでしょう。

最後にMasterページの設定ですが、ここはリバーブのパラメータを少々調整した以外は特に変更箇所はありません。
ちなみにミックス作業の段階で、別途センド&リターンでリバーブなどを付加する際にNUMA PLAYERのサウンドをドライ状態にしたい場合は、このMasterページでオフにします。

図3:アコースティックピアノ(パート1)Masterページの設定状態

作成したピアノの音色を使用したデモがこちらです。

曲中のリズムトラックにはRob Papenの「Punch 2」、ベースとシーケンスフレーズには同じくRob Papenの「SubBoomBass 2」を使用し、エフェクトについては、それぞれの内蔵エフェクトのみを使用しています。

Factory Programsに今回作成したプリセットデータを追加したProgram Setも作成しました(データ:JD-Boo_Piano.numa)ので、実際に試してみてください(ダウンロードされるZIPファイル「DF-Layer-Piano.numa_.zip」を展開(解凍)し、現れる「DF Layer Piano.numa」ファイルを、Numa Playerで読み込みます)。

注意点としては、ファイルを読み込むと追加したプリセット1音色分だけが読み込まれるのではなく、現在のProgramsに読み込まれているものは全て上書きされるということです。
既にオリジナルのProgramを作って保存している人は、必ず読み込む前に現在の設定のバックアップを作成するのを忘れずに行ないましょう。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。