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NUMA PLAYER ~無料で使える便利なバーチャル・インストゥルメント~ 【テクニック編】vol.3

アコースティックピアノ音色のエディット(1)

NUMA PLAYERは、エディット無しでも十分使える音色に仕上がっていますが、調整可能なパラメータやエフェクトも装備していますので、シチュエーションに合わせてそれらを調整することで更に活用できます。
そこで今回は、アコースティックピアノ音色のエディットに関して紹介したいと思います。

図0:メインスクリーン画面

JD-800の代表的なピアノ音色風にアコースティックピアノをエディットするには?

TKサウンドでも有名なJD-800のプリセット音色53番のピアノ音色の特徴は打弦感を強調したエッジの効いたアタックと音色が特徴になっています。これをNUMA PLAYERのアコースティックピアノ音色のエディットでシミュレートしてみましょう。

音色としては「MODEL D 1983」をベースにエディットしていきます。
最初にSoundページの“ Str-Resonance ”と“ Duplex ”を絞り切って0にしています。
それぞれのパラメータでは、Str-Resonanceは、弦の共振(ダンパーモデル)の設定、Duplexは、複音階の共振(ダンパーなしの弦の共振によって発生する高次倍音)の設定を行なうものです。
エディットを行なう上で、できる限り元の波形に含まれる複雑な成分を抑えることで、エフェクトなどの設定を調整しやすくするために行なっています。エディットを進めていく際に目的とするサウンドによっては、それらがあった方が良い場合もありますが、ここではひとまず0にしてみました。

図1:アコースティックピアノ(パート1)Soundページの設定状態

Settingsページは特に変更はありません。このページの設定はどちらかというと演奏に関するNUMA PLAYERの動作設定になりますので、使用する際に適宜調整を行なえば良いでしょう。

エフェクトの設定(前編)

今回のポイントはエフェクトの設定です。ここではEQ、コーラス、コンプ/リミッター、ディストーションの4種類を使用しています。

それではEQの設定から見ていきましょう。
図のようにMid(中域)を半分ぐらいカット、Treble(高域)を8~9分目位までブーストしています。

図2:アコースティックピアノ(パート1)EffectページのEQの設定状態

これはシミュレート元のサウンドの質感を想定した調整のためですが、ワイヤーを強く弾いたようなアタック感が聴こえるようにするのが設定の目安となります。

次にコーラスの設定です。
コーラスは変調によるビブラート感が目立つと印象が変わってしまうので、Speedを遅めにして、ドライ:エフェクトのミックスバランスを7:3位にしています。

図3:アコースティックピアノ(パート1)Effectページのコーラスの設定状態

コンプ/リミッターとディストーションの設定については、次回に紹介したいと思います。しばらくお待ちください。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。