音楽の作り方は人それぞれで、同じソフトを使っていたとしてもアプローチはだいぶ変わることが多いように思います。
BITWIG STUDIOの場合はDAWソフト界では一般的なアレンジャータイムラインと、タイムラインに縛られず気軽にフレーズをスケッチしていけるクリップランチャーの2つのシーケンスが同時に走っているという特徴があるので、ますますアプローチに個性が出易いかも知れないですね。
今回は、DAWソフトベースで音楽を作ろうという時に、オーディオ素材を切り貼りしてリズムトラックを作ろうという時のお話しをしたいと思います。
■ 記事一覧/もくじ:BITWIG STUDIOで良い感じに音楽を作ろう!
簡単な作業をするにしても、ちょっとしたショートカットで快適さは変わるのです。
使用するサンプルも、人によってはループかもしれないしワンショットかもしれないし、フレーズを切り出して使うのかもしれないし、まさに人それぞれで、その上時と場合によるっていう感じだと思います。
そんな人それぞれのアプローチを、BITWIG STUDIOではどうするのが良いのか?という質問を受けた時に、もちろんこれが正解ということではないですが、『こういう風に使ってみると良いかもしれないです』という案内をして好評だった内容をここでも紹介しておきます。
例えばアレンジャータイムラインにロードしている曲の一部を切り出してバスドラにしようとしたとします。
この場合、アレンジャータイムラインのクリップそのものでも良いですし、クリップを選択した状態で表示できるサブパネルのウェーブエディタでも良いので、ナイフツールで切り出して別のトラックにコピーするというのが手っ取り早いですね。
アレンジャータイムラインのオーディオトラックの9小節目をナイフツールで切り出して別のトラックにコピーしてみました。
BITWIG STUDIOはコンピュータの数字キー1から5がツールのショートカットになっている点と、クリップやデバイスはoption(alt)を押しながらドラッグするとコピーされるという点、タイムラインやクリップランチャーのトラックがない場所にクリップやデバイスをドラッグすると最適なトラックが自動的に作られる点を踏まえて、以下の操作を行ないました。
- オブジェクトセレクトツールが選択されている状態で数字5キーを押しながら9小節目頭と10小節目頭をクリック
- 切り出したクリップをアレンジャーの何もない場所にoptionを押しながらドラッグ&ドロップ
この手順でオーディオトラックの9小節目を切り出してコピーしつつ新しいオーディオトラックが作成されます。
この時点で切り出してコピーしたクリップは非破壊状態なので、クリップの端の上半分をドラッグすると、元のファイルの続きが現れます。
ドラッグする箇所がクリップの下半分ならループですね。
以上を踏まえてクリップの長さを変えたりコピーしたりしてフレーズを組み立てて行くことになります。
クリップをコピーする場合、離れている場所へのコピーはoption(alt)ドラッグが便利ですが、連続しているような場合にはデュプリケート(コピーして直後にペースト)が便利です。
ショートカットはcommand(Winの場合はcontrol)+Dです。
それとなくフレーズを組み立ててみました。
メインパネル右下でビートタイムグリッドの設定ができるので、その時に作ろうとしているフレーズに応じて変更すると、任意の長さに合わせやすくてはかどります。
画像では16分音符が選択されています。
stとある部分を上下にドラッグすると3連符、5連符、7連符に吸着させることもできます。
切り貼りだけでは大変な時はDrumMachineに頑張ってもらいます!
ここまでは特にBITWIG STUDIOにしかできないという機能ではないですが、ちょっとしたショートカットを覚えておくと操作性がずいぶん変わりますよ、というお話しでした。
サンプルベースでリズムを構築しようという時に、ショートカットを駆使するとサンプルの切り貼りはそれほど苦にならないというか、ストレスなく操作できると思いますが、複雑なリズムや、逆に単純な4つ打ちなどでは微妙に面倒だと感じることがあるかもしれません。
そこで、BITWIG STUDIOの場合はContainerデバイスからDrumMachineを活用したいところです。
サンプルをコピーした時点で追加されたオーディオトラックに、Device & PresetからDrum Machineをドラッグ&ドロップで追加すると、トラックは自動的にハイブリッドトラックに変化します。
トラックヘッダーのアイコンもハイブリッドトラックを表す鍵盤と波形のものに変わっていますね。
追加したいクリップをDrumMachineの任意のセルにドラッグすると、スライス設定の画面が表示され、任意で設定した長さでDrumMachineに追加されます。
この操作でハイブリッドトラックに作成したクリップにMIDIノートとしてレコーディングできるようになるので、4分→8分→16分というように刻んでロールしていくようなフレーズを作成する時にはDrumMachineで入力する方が遥かに楽です。
もちろんオーディオとMIDIが混在できるので、『ここまではオーディオクリップをチョキチョキ。ここからここまではDrumMachineでMIDIノートを入力して…またここからはオーディオクリップを…』というような使い方もできます。
とはいえ、BITWIG STUDIOでループ素材をDrumMachineで、といえば間違いなくSlice to Drum Machineが便利です。
この機能、今までに解説したつもりでいましたが、なんと連載開始前、発売直前に情報を小出しにしてた時にサラッと触れてあとで細かく紹介しようと思ってとっておいたのを今気付く始末…。
なので、次回はオーディオ素材からDrumMachineにスライスして取り込む方法をご案内します!と予告をしつつ、今回はこの辺で。
引き続きBITWIG STUDIOで良い感じに音楽制作を楽しんでください!
それではまた次回!!