(2014/05/20)
前回まででショートカットやカスタマイズなど、使い勝手を向上させるために設定しておきたい項目について案内してきました。
今回からはもう少し掘り下げた内容をお送りしようと思いますが、その前に少しだけ小難しい話しをしてみたいと思います。
いや、逆に小難しいことを考える必要がないのがBITWIG STUDIOというソフトウェアなのですよ!という話しというか…。
今ではレコーディングといえば多重録音というのは当たり前ですよね。
これが行えるおかげでドラムを録ってベースを録って、ギターを録ってシンセを録ってボーカルを録って…というように順番にレコーディングすることができるし、例えばバンドでステレオマイクを立てて『せーのっ!』と一発録りしていた場合、誰か一人がミスったら全体を録り直さないといけないところをパート毎にやり直すこともできる。
また、楽曲を作成する際にもメロディーを録音して、それにギターを合わせていったり、逆にまずドラムを打ち込んでおいたり…というように、音楽制作の手順も幅がぐんと広がりました。
コンピュータの能力がまだあまり高くなくて、不安定かつ高価だった頃のハードウェアのシーケンサーとテープのMTR(マルチトラックレコーダー)が主流だった時期を経て、徐々にコンピュータが高性能化して価格がこなれて来てコンピュータベースのいわゆるDAW(デジタルオーディオワークステーション)環境というのが一般的になりました。
BITWIG STUDIOもこのDAWソフトと言われるもののひとつです。
最近のコンピュータは比較的安価なものでもスペックはかなり高いものが多いので、トラック数などもほとんど気にする必要はありませんが、その昔テープのMTRは4トラックが最も一般的(しかもモノラル!!)でした。
※DAWのトラック数はCPUやメモリ容量に左右されます。
すると、ドラムをステレオで録音したらあとはモノラルで2トラックしかないので、ドラムをオーバーダビングしながらベースをレコーディングして、今度はドラムとベースが入ったトラックをオーバーダビングしながらギターをレコーディングして…というように、常にオーバーダビングを繰り返さなければなりません。
ピンポン録音ってヤツです。
テープでオーバーダビングを繰り返して行くと高音が埋もれてくるので、その分を予想してシンバルなどは強めにEQで持ち上げておいたりというようなテクニックが必要だったりもしました。
DAWソフトでトラック数を気にせずに使用できるというだけで相当なメリットということになりますね!
AUDIO?? MIDI??
トラック数といえば、DAWソフトではオーディオトラックとMIDIトラックというものがあります。
名称は各ソフトによって異なりますが、オーディオトラックとインストゥルメントトラックと呼ぶことが多いですね。BITWIG STUDIOもインストゥルメントトラックと呼びます。
MIDIというものが何か?と説明するとそれだけで数回必要なのでここでは省略しますが、ザックリとギターやベースなどを演奏してレコーディングするのはオーディオトラック、MIDIという信号を記録してコンピュータ内やハードウェアの音源を演奏させるのをMIDIというように考えてください。
このそれぞれのトラックは扱う信号が異なるため、オーディオトラックでMIDI信号は(原則として)扱えないし、MIDIトラックでオーディオ信号は再生することができないということになります。
このような点から、馴れるまでは『音源をトラックにインサートできない!』『オーディオループをロードしても音がでない!!』というような問題が発生してあわわわわ…となってしまったりします。(実体験)
BITWIG STUDIOにももちろんオーディオトラック、インストゥルメントトラックがあります。
ザックリいうと『インストゥルメントトラックはMIDI信号を記録して音源を演奏させる』と言いましたが、部分的に、またはトラック全体をバウンスしてオーディオ化した方が都合が良い場合や、オーディオ化しないとできない操作というものもあります。
このような時、通常はバウンスしたデータはオーディオトラックを新たに作成するか、すでにあるオーディオトラックにバウンスすることになりますが、BITWIG STUDIOではその場でバウンスしてしまえばトラックが勝手にハイブリッドトラックという、オーディオもMIDIも扱えるトラックに変身します。
同じことはインスゥルメントトラックにオーディオ素材を貼付けた場合や、オーディオトラックにインストゥルメントのクリップを貼付けた場合などにも起りますが、難しく考える必要はありません。
BITWIG STUDIOは、その必要がある場合は勝手に自分自身を変身させて対応しますので!
トラック数が4トラックや8トラックが主流だった時があるというのを知らないのが当たり前になったように、今後はMIDIトラックやオーディオトラックという考え方を常に念頭に置いておかなければならない時があったというのを知らない人が出てくるかも知れません。
もしそうなったならBITWIG STUDIOのせいです!すみません!!
- 前回記事:
ブラウザパネルの細かい機能達を使いこなそう!