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【連載】Sugar Bytes幕の内連載その3

初回2回目とエフェクト製品を紹介してきた本連載。

Sugar Bytes製品の全部盛りパックSugar Bundleにはまだ他にもエフェクトラインナップがあるので、もうこの際エフェクトを先に紹介し切ってしまおうかな…と思わないでもないですが、今回は少し切り口を変えて、少し変わったシンセのようなシーケンサーのような不思議感覚なソフトウェア、Thesysを紹介します。読み方はテーシス。

各機能は何気にオーソドックス

Thesysを強引に一言で表すなら、ステップシーケンスシンセのすごいやつ。

Thesys外観

Thesysの中にシンセを搭載しているのですぐに音が出せますし、お気に入りのソフトシンセがあるならThesysでそのシンセをコントロールすることもできます。

スタンドアロンでの使用はもちろん、DAWのプラグインとして起動した場合には、DAWソフトと完全に同期して動作します。

パッと見てすぐにピンと来る人もいると思いますが、割とオーソドックスなステップシーケンスです。
先にサラッと各部の機能を説明してみます。

各部機能解説画像

  • PITCH(画像赤枠部):左にある小さいキーボードを上下にドラッグしてルートノートを決めて、各ステップのスライダーを上下させてピッチを変更します。ノート名称はスライダー下に表示されるので目で見て判りやすいです。
  • VELOCITY(画像青枠部):各ステップのベロシティを調整します。
  • GATE TIME(画像黄枠部):各ステップのノートの長さを調整します。ステップの長さを1/16に設定している場合でメインのスライダーでX1となっている場合、1.0で16分音符分の長さ、2.0で8分音符、0.5で32分音符という具合に機能します。
  • PERFORMANCE(画像緑枠部):コード入力やピッチベンドやオクターブ調整などなど、Thesysの核心機能のひとつ。
  • MODULATION(画像紫枠部):MIDICCを入力可。
  • Built-in Synthesizer(画像水色枠部):シンプルな内蔵シンセサイザー。スピーカーアイコンで表示非表示を切り替える。
  • ACTION SECTION(画像橙色枠部):一時的にゲートタイムを指定値に変更したり、指定ステップ数でループしたり、指定ベロシティ以下にゲートを掛けたり。再生中のシーケンスにリアルタイムでアクションを加える部分。

それから、内蔵シンセを非表示にするとグローバルセッティング(のようなもの)が表示されます。

Global

ここではMIDI IN/OUTのオクターブを個別設定したり、トランスポーズを掛けたり、シーケンスの動作を決定したりします。

まずTRIGGER MODEでシーケンスの動作を決めます。
設定可能なのは以下の3種。

  • HOST:DAWでプラグイン起動している場合に、DAWホストが再生開始するとともにThesysもスタート
  • NOTE ON:外部MIDIキーボードなどからMIDIノートを受けている間のみ再生
  • NOTE TOGGLE:ノートを受けてスタート、もう一度同じノートを受けると停止

地味に重要なのがLOOP。

これはPITCHのステップ数と、他のVELOCITYやGATE TIMEのステップを同じにするか個別に設定するかを決めます。

GLOBALに設定されている場合PITCHのステップ数と他の項目のステップ数は常に同期し、INDIVIDUALに設定すると、それぞれのステップ数を個別設定できます。

例えばINDIVIDUALに設定しPITCHを32ステップ、GATE TIMEを8ステップに設定した場合、PITCHが32ステップ進む間にGATE TIMEは8ステップを4回繰り返すことになります。

TEMPOの設定は各項目の1ステップの長さを設定します。
1/1,1/2,1/2T,1/4,1/4T,1/8,1/8T,1/16,1/16T,1/32の10種類から選択できます。

PERFORMANCEがThesysの要!のうちのひとつ。

PITCH、VELOCITY、GATE TIMEは割とオーソドックスなステップシーケンサーなのでここでは説明は省くとして、PERFORMANCEを使いこなすかどうかでThesysの面白さが大きく変わってきます。

PERFORMANCEは他の項目とは異なり、スライダーで調節ではなく、クリックしてメニューを選択します。

PERFORMANCE

各ステップごとに5種類のメニューがあり、単調なステップシーケンスとはひと味違うフレーズを作ることができます。

Octave

Octave

ステップをオクターブ単位でシフト。

調整範囲は上下2オクターブ

Bend

Bend

ステップをピッチベンド。

予めプログラミングされた20種類のベンドタイプから選択する。

Chord

Chord

PITCHで選択しているノートをルートとしてコードを生成。

内蔵シンセサイザー以外のプラグインを使用する場合でポリフォニック非対応の音源の場合コードは発音できない。

Roll

Roll

いわゆるロール。

例えば1ステップの長さを1/4ノート分に設定している場合に最左上の項目を選択するとステップは1/16ノートでロールされる。

Random

Random

選択したステップを選択した項目でランダマイズする。

これらの機能を使って作成したパターンをAction Sectionで動きを出していくわけですね!

パターンは最大16作成できて、作成したパターンはパターンシーケンサーで組み合わせてソングを構築するというのはステップシーケンサーのオーソドックスな仕様で、MIDIキーボードからパターンを呼び出したりActionSectionを操作したり、PITCHで作成したパターンのトランスポーズを直接指定変更したりすることもできます。

PITCHでフレーズを作成してPERFORMANCEをちょっといじってみたところとActionSectionを触って見たところの動画を作成しました。

いかがでしょうか。
鍵盤の演奏が苦手な方にもお勧めしたいステップシーケンスシンセ、Thesys。

プリセットを聴いているとファミコンサウンドというかチップチューンというか、思わずニヤっとしてしまうサウンドやフレーズが次から次へと飛び出してくるので、好きな人にはたまらないソフトウェアだと思います。

Thesysは使ってみて初めて面白さが判るソフトだと思うので、興味を持ってくれた人がいたら是非デモバージョンを試してみてください。

それではまた次回、お楽しみに!

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