前回、前々回とワブルサウンド生成マシン、Cyclopの解説を行なっています。
今回は予告通りCyclopのエフェクト部の解説から開始したいと思います。
この連載を以前から読んでくれている人には微妙にピコンと来ていることと思いますが、CyclopはこれまでのSugar Bytesソフトウェアの集大成とも言えるシンセサイザーで、別のソフトウェアの機能を惜しげもなく投入していたりします。
そんなCyclopのエフェクト/モジュレーション部分をまずはパッと見てみましょう。
ホットキーで想い通りにボエオエオエ
Cyclopの画面上半分はエフェクトとモジュレーションのセクション。
中央の大部分はセンタースクリーンと呼ばれる場所で、ウォブル・セッティング、スタンダード・モジュレーター、モジュレーション・アサイン、FX シーケンサー、メイン・ノブ・レコーダー、MIDI セッティングの6種の機能を切り替えて使用します。
左のウォブル・ノブや右のFXノブとの組み合わせで、それぞれ狂気のサウンドを作り出すという訳ですね。
この辺り、考え方が少し複雑というかコツが必要かも知れないので、細かく見て行きたいと思います。
まずウォブル・ノブ。
これはクレイジエストなフィルタープラグイン、WOW2のウォブラーに通じるものがあるというか、まさにウォブラーを持ってきていると言わんばかりです。
ただし、使用方法はフィルターに限らないのでこちらの方が広いと言えますね。
ウォブル・ノブを理解するためには、まずWOW2のウォブラーについての記事と、記事内の動画を是非ご参照いただきたいです。
基本的な使用法というか操作方法は共通の部分も多いですが、WOW2はフィルタープラグインという性質上、フィルターのみでウォブルな雰囲気を醸し出していたのに対して、Cyclopの場合はフィルターのみではなくシンセのパラメータを操作することもできるので、もはやウォブルというより何でもありなサウンドを作り出すことができます。
ただ、Cyclopを購入/インストール直後やデモバージョンをダウンロードしてインストールした直後にウォブル・ノブをグリグリと回しても何も起らないので、拍子抜けするかも知れません。
ウォブル・ノブはセンタースクリーンの、主にウォブル・セッティング・パネル、モジュレーション・アサイン・パネルのメニューと組み合わせて使用しますが、初めは何も割り当てが行なわれていないので、ノブだけガシガシしても何も起らないというわけです。
実際に使用するには、まず初めにウォブル・セッティング・パネルを開きます。
このパネルは下準備というか、ウォブル・ノブをどのように動作させるかを設定するためのページで、以下のようなメニューがあります。
Restart:ウォブル・ノブをリトリガーするタイミングを指定します。ノートのみではなく、いくつかのビートに合わせることができます
Start Phase:ウォブルLFOのスタート位置を設定します
Quantize:LFO信号を設定したステップ数に切りそろえます
Interpolate LFO Rate:LFOスピードの切り替え時に値の補完を行なうかを設定します
Velocity sets knob position:ウォブル・ノブの位置をベロシティで設定します
Hotkeys to knob position:ホットキーを使用してウォブル・ノブの位置を直接指定します
いわゆる『ウォブル』な感じを出すならホットキーでキッチリ切り分けると、想い通りにボエオエオエしやすいと思います。
いや、ボエオエオエっていうか…。
アサインしないとボエオエできませぬ
続いてモジュレーション・アサイン・パネルのウォブル・アマウントメニューで、ウォブル・ノブでどのようなサウンド変化を与えるかを設定します。
モジュレーション・アサイン・パネルは様々なパラメータを設定しますが、ここではWBL AMT部分をクリックしてウォブル・アマウントメニューを呼び出します。
設定項目を細かく見てみます。
A/B(画像赤枠):ウォブル・ノブ下のウォブル・アマウント・ノブと組み合わせて使用。A/Bを選択して2種類の設定を行い、ウォブル・アマウント・ノブでそれぞれの設定間をモーフィングする
ホットキー(画像青枠):12のホットキー毎に12種の設定を行い、MIDIノートで呼び出すことができる
ピッチ(画像黄枠):上下2オクターブ内で設定できる
シンセパラメータ(画像緑枠):左からボリューム、Synth1パラメータ1、Synth1パラメータ2、Synth1パラメータ3、Synth1/2バランス、Synth2パラメータ1、Synth2パラメータ2、Synth2パラメータ3
フィルタパラメータ(画像紫枠):左からフィルタ1Cutoff、フィルタ1Reso、フィルタ1Dry/Wet、フィルタ1/2バランス、フィルタ2Cutoff、フィルタ2Reso、フィルタ2Dry/Wet
クリア(画像朱枠):すべての設定を初期化する
ウォブル・ノブは予め2小節から1/48分音符まで12のLFOが割り当てられていて、各LFOの波形を個別に変更できるほか、ノブをグリグリしてみたり、ホットキーで直接指定したりして使用しますが、モジュレーション・アサインで行なった設定をこのウォブルLFOでトリガーするので、いわゆるウォブルサウンドを簡単に作り出すことができるという仕組みなのですね。
実際にウォブル・ノブを使用しているところは以下の動画をご参照ください。
フィルタのカットオフのみを操作して非常に判りやすい解説動画です!
このフィルタの操作を基本にして、他のパラメータも作り込んでいくことでボエオエオエなサウンドを仕立てていくというわけです。
次回も引き続きセンター・スクリーン回りの解説を行ないます。
それではまた次回。
お楽しみに!!