(2014/11/28)
Mixcraftの魅力をお伝えしている本連載。
連載を一新してからは、マスタリングを中心にMixcraftの魅力をお伝えしております。
前回はアナログ・テープのサチュレーション効果などをあたえる「Ferox Tape Emulator」、真空管のEQのシミュレーションを行った「FSQ1964」、アナログ機材特有の歪みや暖かみを加えることができる「FAT+」をご紹介しました。
今回からは、これら3つのプラグインを掘り下げてご説明していきます。
Ferox Tape Emulator
3つのプラグインのうち、今回お伝えするプラグインは「Ferox Tape Emulator」です。
このFerox Tape Emulatorは、テープに録音した際に生じる歪みや圧縮を、音に加えるプラグインです。
DAWによるデジタル録音とは異なり、アナログ機材のテープに録音を行うと、音に対し、圧縮や歪みが加わり、「音に暖かみが増す」や「音が太くなる」といったメリットがあり、Ferox Tape Emulatorのようなプラグインは要所で使用されています。
それでは、Ferox Tape Emulatorの各パラメータを詳しく見て行きましょう!
Ferox Tape Emulatorは大きく4つの構成に分けることができます。
FEEDBACK
Ferox Tape Emulatorではフィードバックの設定を行うことができます。Amountで、フィードバックの効果量、Delayでディレイの長さを設定します。
ディレイ音の音質が柔らかく、パラメーターの調整によって独特な効果がかかることが特長です。
COMPRESSION
テープレコーダーに録音した際、自然にコンプレッションがかかり、このことをテープコンプといいます。このテープコンプが魅力で、今でもテープに録音したあとに、DAWに取り込むという手法が使われることがありますが、Ferox Tape Emulatorでもコンプレッションの設定を行うことができます。
Releaseは、コンプのリリース・タイム、Amountは効果量を設定します。また、入力レベル、出力レベルは中央のINPUT LEVEL OUTPUTより設定します。
TAPE SPECTRUM
このTAPE SPEPCTRUMでは、周波数の調整を行います。Low cutでは低域のカット、High cutでは高域のカットを行います。音に温かみを持たせる上で、重要なパラメータです。
NONLINEARITY
Saturation、Hysteresisの二つのパラメータで、歪みの量と質を調整します。テープ独特の歪みを音に追加することもできますが、極端にかけることでギターアンプのような歪みを生み出すことも可能です。
それでは、各セクションの効果を動画でも確認してみましょう!以下の動画をご覧ください。
パラメータが少ない分、1つ1つのパラメータがしっかりと効いている印象がありました。プリセットも数多く用意されているので、使い勝手は非常に良いと思います。
最後に、マスタートラックにFerox Tape Emulatorをインサートし、パラメータを1つずつ調整し、音を太くしていく様子の動画を作成しました。ご覧ください。
このように、Ferox Tape Emulatorを使えば、独特の質感を得るながら、音を太くしていくことができます。
パラメータも少なく、プリセットも充実しておりますので、使い勝手の良いプラグインです。
音を太くしたい、音に温かさを加えたいといった場合は、Ferox Tape Emulatorを試してみてください。
それでは!