(2014/10/10)
Mixcraftの魅力をお伝えしている本連載。
連載を一新してからは、マスタリングを取り上げています。
ここ数回は、コンプレッサーについて取り上げました。コンプレッサーのアタックとリリースによる音の変化から、EQとの組み合わせ順について、解説を行いました。
コンプレッサーは奥が深いエフェクトなので、この連載で何度も取り上げていますが、コンプレッサーと同じくらい取り上げているエフェクトが、EQです。
今回は、そのEQだけを使って音の質感を変化させてみます!
トータルEQで質感を変化させよう!
今回は、以下の音源を使用します。
さっそくEQをかけていきたいところですが、その前にマスター・トラックにEQをかけて、大きく音質を変化させる利点を考えてみたいと思います。
マスター・トラックにかけるEQのことをトータル・EQと呼びますが、トータル・EQで音像を大きく変えるぐらいなら、「そもそもミックスでこういう音像を作ればいい」という意見もあると思います。
それはそれで正しい意見ではあるのですが、ミックスをナチュラルな音像で作っておいて、トータルEQで聴こえ方を大きく変えることで、音の質感が予想以上にしっくりくる場合があります。
正攻法とは言えませんが、最終的に良い音が作れればその過程は問題ではありません。
では、EQをかけていきましょう。先ほどの音源を、EQだけを使ってリズムを強調させた音像に変えていきます。
まずは100Hz付近を持ち上げています。この部分は、ベースやドラムのキックといった帯域が集まっているため、この帯域をブーストすることでグルーブを強調できます。
しかし、同時に音の抜けも悪くなるなってしまうため、いくつかポイントを探してカットすることも必要です。
なお、抜けが悪いポイントを探すには、以下の図のように帯域を強調して探す方法があります。
強調する帯域をどんどんずらしていき、音の抜けが悪くなった帯域をカットします。
また、低域が持ち上がった分、高域も上げてバランスを取りました。最終的には、以下のような設定になりました。
それでは、実際の音がどのように仕上がったかお聴きください。
EQ前 → EQ後 → EQ前 → EQ後という順番に音源が流れます。
いかがでしょうか?トータルEQをかけた方が、よりグルーブを感じ、キックとベースが強調されているのではないでしょうか?
このように、マスター・トラックにかけるEQは、楽曲全体の周波数帯域に影響が及ぶため、楽曲の印象が大きく変化します。
その分トータル・EQは、使い方を誤ると今まで作り上げた音質が破綻しやすいとも言えますが、うまく設定すれば効果的に音の質感を変化させることができます。
みなさんも一度、トータル・EQをお試しください。
それでは!