(2014/10/03)
Mixcraftの魅力をお伝えしている本連載。連載を一新してからは、マスタリングを取り上げています。
ここ数回は、コンプレッサーとEQの順番による違いについて取り上げていました。具体的には、EQ → コンプという順番か、コンプ → EQという順番でエフェクトをインサートするかというものです。
これまでの内容を簡単にまとめると、EQ → コンプという順番では、「予め音色を作り込める」、「コンプが後段にあるので、グループ感を強調できる」といった利点がありました。
コンプ → EQという順番では、「コンプで変化した音質を、後段のEQで補正できる」という利点があるということをお話しました。
では今回はというと、「EQ → コンプ → EQ」という順番でエフェクトをインサートしたいと思います。
これには「どのような利点があるのか?」というところを、解説していきます。
EQ → コンプ → EQは利点だらけ!
まずは、エフェクトのインサート順の利点から考えてみましょう。
EQを前段にインサートしているため、
- 理想とする音色を事前に作れる
- 任意の周波数帯域を上げておくことで、その周波数帯域をよりコンプレッサーで圧縮できる
ということが、利点として挙げられます。
では、EQの次にインサートしてあるコンプレッサーについて考えてみましょう。
コンプレッサーが後段にインサートしてあるため、グルーブ感を強調できます。
これまでは、EQ → コンプという順番の利点と同じです!
ここで、EQ → コンプの順番の不利な点を思い出してみます。それは、
「コンプレッサーをインサートすると、高域が削られる。また、中低域あたりが濃くなる」
と言われています。そのため、コンプレッサーをインサートすると、音質が変わってしまいます。
では、その状態を確認するために、音源を用意しました。以下の音源は、EQ適用 → EQ&コンプ適用 → EQ適用 → EQ&コンプ適用の順で流れます。
コンプレッサーをインサートすることで、どの程度音質に変化が生じるかご確認ください。
コンプ適用後の音源は、圧縮が行われ音のリッチ感が失われているように感じませんか?これは、コンプ感が出ているとも言えます。
このようにコンプレッサーをインサートすると音質は変化します(使用する音源、コンプレッサーの設定などによって変化具合は異なります)が、コンプレッサーの後にEQをインサートしています。
これによりコンプレッサーで変化した音質を、EQで補正できます。
先ほどの音源を使って、EQ&コンプ適用 → EQ&コンプ&EQ適用 → EQ&コンプ適用 → EQ&コンプ&EQ適用という順番で流れる音源を用意しました。音質に注意して、お聴きください。
コンプで失われたリッチ感が、EQで補正することで取り戻せていると思います。
コンプで変化した音質を後段のEQで補正できる点は、コンプ → EQの順番の利点でしたね。
このように、「EQ → コンプ」「コンプ → EQ」の利点を全て兼ね備えているインサート順が、「EQ → コンプ → EQ」という順番です。
非常に便利なインサート順ですので、皆様も是非お試しください。
しかし、エフェクトの多重がけが全て良い結果を生むとは限りません。エフェクトを多くインサートすることでCPUパワーは消費されますし、エフェクトをどんどんインサートしていくと、結局どんな音にしたかったか途中で迷ってしまいます。
目指す音を明確に想像することで、作業効率が高まりますし、それによって必然的に使用するエフェクトも限られてきます。
少ない労力で、最大の効果を生み出しましょう!
それでは。