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ハードウェアシンセサイザーを活用するためのMIDI知識 vol.6

今回からDAWベースの制作環境でM4U eX / M8U eXを使用する際に必要な設定のポイントをいくつかのDAWを例に解説していきたいと思います。

まずはMOTUのDigital Performerの場合の設定例を紹介しましょう。

Digital Performer 10における設定のポイント

ここではM4U eXを使用して説明していきましょう。基本的にM4U eX / M8U eXはドライバー不要ですので、使用しているMacにUSBケーブルで接続するだけでハードウェア的な準備は完了です。

接続が完了したらDigital Performer 10(バージョンは10.11)を起動します。シーケンスエディタ上でトラック上のMIDIアウトプットを割り当てようとすると、未設定ポートの中にM4U eXのポート1から8が認識されているのがわかります。

M4U eXを接続するとDP上のアウトプットのポート設定ではこのように表示される。

各ポートに何を接続したのかわかっている場合には、このまま使いたい機器のポートとMIDIチャンネルを選べば良いのですが、何をつないでいるのかを識別しやすくしたいにはMacOS純正のアプリケーションである「Audio MIDI設定」を使用して、設定を行うと良いでしょう。

四角で囲んだアイコンがAudio MIDI設定のアプリケーション。

この「Audio MIDI設定」は、正しくコンピュータに認識されているかなどを確認したい場合にも重宝します。

MacOS環境のセットアップに欠かせないAudio MIDI設定について

Audio MIDI設定は、Finderを開いてアプリケーション > ユーティリティ と進むとその中にありますので、ダブルクリックしてアプリケーションを立ち上げると、下図のような状態の画面が表示されます。

接続したコンピュータにM4U eX / M8U eXが正しく認識されている状態。ここではM4U eXを使用した場合の例となる。

M4U eXのアイコンの下部には▽△で1ペアになったものが8個あるのがわかります。これが各ポートのMIDI INとMIDI OUTとなっており、どのようなMIDI機器がMIDIインターフェイス本体に接続されているのかを設定することで、どのような接続状態なのかを把握しやすくできるワケです。

手順は、まずウインドウ上部中央にある「+」ボタンをクリックすると「新しい外部装置」というアイコンが表示されます。

四角で囲んだ部分をクリックするとデバイスを追加できるので、必要な数を作成すると良い。

続いて作られた「新しい外部装置」をダブルクリックするとプロパティが開きますので、装置名を入力します。

プロパティ画面を開いて設定を行っている状態。ここでは装置名のみを設定しているが、使用するアプリケーションや機器、環境の用途によっては製造元や機種、送信、受信設定なども行うと良い場合もある。

ここでは実際に接続している音源モジュール名を入力していますが、使用機材や制作環境などによっては、自分で識別しやすい名称にしておくのも良いでしょう。ちなみに他の項目は未設定でもM4U eXを使用する上で支障ないようなので、今回は特に設定を行っていません。

装置名を設定したら、その装置とそれを接続しているM4U eXのポートを結線します。前述の▽△の部分をクリックしたままドラッグして接続します。

四角で囲んだ部分がM4U eXとMIDI機器を接続した状態を表す。

接続の際にはMIDI信号の流れが進む方向になるように各装置の三角形の頂点を合わせてつなげるのがポイントです。これを必要な数だけ繰り返して設定を行います。

3台の音源モジュール(PROTEUS 2000、INTEGRA-7、MOTIF-RACK ES)を接続した場合の設定例。

設定後はDP上でどのように反映されるのか

ここでDigital Performerに戻ってシーケンスエディタ上で改めて設定を確認してみましょう。トラック上のMIDIアウトプットをクリックしてみると、設定を行ったポートが各音源モジュール名で選択できるようになり、未設定ポートの方では設定を行っていないM4U eXのポート4から8になります。

Audio MIDI設定による環境設定後にはアウトプットの設定を行う際には、それぞれ上段:装置名を指定したポート、下段:未設定のポート、のように表示される。

また、Digital Performerのメイン画面となるトラックウインドウ上では各MIDIトラックのアウトプットの部分をクリックすると同様に設定が行なえます。

DPのメイン画面(トラックウインドウ)上での設定例。四角で囲んだ部分が実際に設定を行った状態。

上記画面の該当部分をトリミングしたもの。

尚、ここでは3台の音源モジュールを接続した場合の設定例のため、全てMIDIインターフェイスからの出力を音源モジュールの入力につないだだけですが、MIDIキーボードや鍵盤付きシンセサイザーを接続して、音源モジュールのコントロールやDAWにリアルタイムレコーディングを行ないたい場合などはそれらの出力からMIDIインターフェイスの入力についても設定が必要となります。

楽器や機器側のMIDI OUTを使用したい場合の設定例。既に設定している状態にKRONOSを追加し、MIDIインターフェイスと楽器双方のIN OUTを接続している。

最後に補足ですが、Digital Performer起動中にAudio MIDI設定を起動したい場合には、DP上のセットアップメニューから呼び出すことができます。

DP上で直接Audio MIDI設定を立ち上げたい場合には、メニューバーにあるセットアップメニューの中の「オーディオMIDI設定を開く」を選択する。


内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。