今回はM4U eX / M8U eXのスタンドアローンでの使用例としてスルーボックスとして活用する方法について紹介しましょう。
MIDI端子のIN、OUT、THRUの違いとは?
今更ながら、MIDI端子にはMIDI IN、MIDI OUT、MIDI THRUの3種類があります。この中でINとOUTの役割はわかるけれども、THRUはどのような役割を持った端子かイマイチよくわからないという方も多いようです。ここではスルーボックス機能をより活用する上でも知っておいた方が良いので、一度整理しておきましょう。3つの端子の役割は以下のようになっています。
- MIDI IN:別のMIDI機器から送信されたMIDI信号を受信する
- MIDI OUT:別のMIDI機器をコントロールするためのMIDI信号を送り出す
- MIDI THRU:本体で受信したMIDI信号をそのまま別のMIDI機器へ送り出す(=受信したMIDI信号をそのまま通過させる)
実際に3台のMIDI端子を持つシンセサイザー(仮にA、B、Cとします。)を接続する場合どのようになるかイメージ図と共に説明してみましょう。
まず、下図のように接続した場合、synth Aを演奏するとsynth B、synth Bを演奏するとsynth Cを同時に演奏させることができますが、synth Aでsynth Cをこのままの状態で同時に演奏させることはできません。synth AのMIDI OUTとsynth CのMIDI INを接続するように配線を変更する必要があります。
あるいは、synth Bも同時に演奏しても良い場合やsynth Bのボリュームのミュートが切替られるようなセッティングの場合であれば、下図のように接続することで解決することができるワケです。
また、synth CのMIDI THRUから更に次のsynthのMIDI INへということを繰り返すことで同時に演奏できる台数を増やすことができますが、台数が増えるとMIDI信号の伝達に遅れなどが生じますので、概ね2~3台程度に留めておくと良いとされています。それでも場合によっては同時にたくさんのシンセサイザーを同時にコントロールしたいケースが生じます。その解決策として役立つのがスルーボックスなのです。
スルーボックス機能の活用例
M4U eX / M8U eXをスタンドアローンで使用した場合、モード1でバススルー機能、モード2でMIDIスルー機能が使用できます。もちろん環境や使用機材にもよりますが、ここではわかりやすくモード2のMIDIスルー機能について見ていきましょう。
M4U eXを使用すると、最大で7台のMIDI機器に対して同じMIDI信号を送信できます。例えば鍵盤付きのシンセサイザーで最大7台の音源モジュールや他の鍵盤付きシンセサイザーなどを同時に演奏させることができるようになると考えるとわかりやすいでしょう。
接続手順としては、まず、本体のポート1にはマスター(鍵盤付きシンセサイザーなどのコントロールする機器)となるMIDI機器のMIDI OUT端子とM4U eXのポート1を接続します。M4U eXのポート2から8まではスレーブ(=コントロールされる音源モジュールなどの機器)となるMIDI機器のMIDI IN端子と接続すればオーケーです。
参考までですが、M4U eX / M8U eXをモード2での使用時には写真のような感じにLEDが点灯します。
また、モード2の設定を活用すると、ハードウェアのMIDIシーケンサーやオールインワンシンセ内蔵のシーケンサーなどで外部の複数の音源を使用して演奏させたい場合にも有効です。
この場合は、ポート1にMIDIシーケンサーなどを接続し、ポート2から8に適宜使用する音源モジュールを接続すると良いでしょう。
その際、シーケンサー側から送信するMIDIチャンネルと音源モジュールの受信するMIDIチャンネルを合わせておくことに注意しましょう。外部機器のコントロールを行う際の設定やMIDIチャンネルの設定方法などは製品によって異なるので、各機器の取扱説明書で十分確認することをオススメします。