RGでカッティング・ギターを作ってみよう

Rob Papen RG

突然ですがRob Papen RGをご存知ですか? すでにRob Papen RGを使用されている方もいらっしゃるかもしれませんが、RGを簡単に説明しますと、どなたにでも簡単に、本格的なカッティングなどのリズムギターを作成することができるリズムギター・シンセサイザーです。

今回RGを実際に使ってカッティング・ギターを作ってみましたので、作成手順をお伝えします。

RGを含むRob Papen社シンセサイザーおよびエフェクトは、下記のページよりデモバージョンをダウンロードすることができます。ご購入を検討されている方やRob Papen製品に興味がある方はぜひこの機会にダウンロード/インストールをお試しください。

RGを使用してのカッティング・ギター作成の解説の前に、RGについての詳細は以下の画像をクリックしてご参照ください。

RG

これまでのヴァーチャル・リズム・ギターを越える

RG シーケンサーセクションについて

まずはRGのシーケンサーセクションを確認してみましょう。

RGでリズム・パターンを作成するには心臓部であるステップシーケンサーを使用します。ステップシーケンサーの概要について確認してみましょう。

Step数

RGのステップシーケンサーは最大32 Stepに設定でき、DAWソフトウェアのソングファイルが4/4拍子の場合、32 Stepで2小節のリズム・パターンを作成することができます。

DAWソフトウェアのソングファイルを4/4拍子、RGのステップシーケンサーの最大数の32 Stepに設定した場合、以下画像の赤枠部分と青枠部分を組み合わせて2小節分のリズム・パターンを作成することができます。

  • Step 1からStep 16まで(赤枠部分)= 1小節
  • Step 17からStep 32まで(青枠部分)= 1小節

RG 小節数画像

パネル部分の項目

RG パネル 画像

上記画像赤枠部分を上から順番に解説します。

【Tie】

StepにTie入力している場合、Tieより前のノートタイムが入力しているTieのStep分伸びプレイされます。実際にTieを入力した動画を作成してみましたので、確認してみましょう。

この動画ではStepにDown StrokeとTieを組み合わせて4分音符のタイム(長さ)でプレイさせていることが確認できます。そして、Tieを入力した箇所を解除(Stepの数字をクリックすると音声は出力されません)し、16分音符のタイムでプレイさせるようにしました。このようにTieを組み合わせることで、音符のタイムを表現することができます。

【Down Stroke】

ギターの弦の低音域から高音域へストロークする奏法です。

【Up Stroke】

ギターの弦の高音域から低音域へストロークする奏法です。

【Ghost Stroke】

弦をミュートし、その状態のままピッキングすることによって、 音程感のない、パーカッシブな(ノイズ的な)サウンドを出すブラッシング奏法です。なお、Muted Low / Muted Highについては、 弦ミュートし、その状態のままダウンピッキングした奏法です。

【Glide / Extra Stroke】

Glide / Extra Strokeはギターモデルによって奏法が異なります。

  • Electric:アップグライド奏法で、発音させるノートより下の音程からスライドさせたサウンド

  • Steel 8 / Steel 16:弦をハンドミュートさせた奏法

  • Distorted:ロングサスティーンサウンド

    ※ AMPセクションのReleaseパラメータ数値または、シーケンスのRelease / FreeがONのときのRelease数値によって、最小値への時間が異なります

  • Muted Low / Muted High:弦ミュートし、その状態のままアップピッキングすることによって音程感のない、パーカッシブな(ノイズ的な) サウンドを出すブラッシング奏法です。

シーケンス・コントロール部分について

RG コントロール部画像

上記画像赤枠部分の左から順番に解説します。

ポップアップ画像

【File】

File上部の点灯しているボタンをクリックすると右の画像のようにポップアップメニューが表示されます。シーケンス・パターンのプリセットのロード/セーブなどを行えますので、作成したシーケンス・パターンを保存しておくとすぐにシーケンサー・パターンを呼び出して使用できるので便利です。

【Steps】

1-32のステップ数を設定することができます。

【Loop From】

ループの開始位置を設定します。

例:32ステップのシーケンスで「Loop From」を「17」に設定した場合、ステップ 1-32を演奏したあと、ステップ 17-32をループ演奏します。

【Speed】

DAWソフトウェアのテンポの「1/4」-「4倍」までの速度を設定することができます。

【Tie Mode】

  • Normal
    StepにTieが入力されていても個別のベロシティとフリーのパラメータ数値は調整することができません。
  • Special
    Stepに入力されているTieの個別のベロシティとフリーのパラメータ数値を調整することができます。

【Reset】

ResetがONの場合、キーがまだ押されている間に新しいキーを押すとシーケンサーはリトリガーされ、再びStep1から再生されます。

ResetがOFFの場合、キーがまだ押されている間に新しいキーを押すと、シーケンサーはシーケンスをリセットしないで新しいノートを再生します。

【Latch】

LatchをONしておくとMIDIキーボードから手を離してもプレイを続行してくれます。

【Swing】

シーケンスで再生しているグルーブをスイング(ハネる)させる割合を調整します。

【Velocity】

シーケンサー・ベロシティ・パラメータ設定がシーケンサーステップ設定によって制御させるか、押したキーのベロシティによって制御させるか、または2つの値の組み合わせで制御されるのかを設定します。

※ 上記内容はシーケンサーA/Bのそれぞれで設定することができます

以上がRGのシーケンサーセクションの詳細です。

RGでリズム・パターンを作成してみよう

これまでの内容を元にRGでリズム・パターンを作成していきましょう。ステップシーケンサーの「Step数」で解説しましたが、補足説明をします。

今回RGを使用して作成するリズム・パターンは、DAWソフトウェアのソングファイルは4/4拍子に設定しています。そして、RGのステップシーケンサーに搭載されている「Speed」を「1×bpm」に設定することで、1つのStepは16分音符の長さとなり、以下画像のように小節、拍数を確認することができます。

※ 画像赤枠部分は1小節目の1-4拍を表し、青枠部分は2小節目の1-4拍を表します

RG 拍数

なお、シーケンサー・コントロール部に搭載されている「Speed」の設定によって、プレイされるシーケンスの速度が異なります。

DAWソフトウェアのソングファイルを4/4拍子に設定し、ソングファイルをスタートさせてから、1小節進むときにRGのStep数がどれだけプレイされるかを解説します。

  • 1/4bpm:Step 4つ分
  • 1/3bpm:Step 約6.5つ分(16 Setpの場合、割り切れないため)
  • 1/2bpm:Step 8つ分(1×bpmの半分のStep数)
  • 2/3bpm:Step 11つ分
  • 1×bpm:「Steps」で設定しているStep数
  • 3/2bpm:Step 16+8つ分(32Stepsに設定している場合、24Step)
  • 2×bpm:(1×bpmの2倍のStep数)
  • 3×bpm :(1×bpmの3倍のStep数)
  • 4×bpm:(1×bpmの4倍のStep数)

※ Speedは「1×bpm」を元にかけ算、割り算するだけです

なお、DAWソフトウェアのソングファイルが3/4拍子の場合、Step 1からStep 12までが1小節となりますので、シーケンス・コントロール部のStepをStep 24に設定することで、2小節分のリズム・パターンを作成することができます。

それでは実際に以下の画像のようにStepに入力した、リズム・パターンを試聴してみましょう。

RGリズムパターン

RGリズムパターン

お聴きいただきましたサウンドのようにRGのステップシーケンサーのStepに入力することで簡単に16分音符ベース(16Beat)のリズム・パターンを作成できますが、よりリアルなカッティング・サウンドを作成するためにはRGのパラメータ数値を調整する必要があります。

実際のカッティング奏法は、コードなどを鳴らす音符の長さ(タイム)やアクセントが重要となり、グルーブを生み出す要となります。RGでカッティング奏法を表現するにはステップシーケンサーのVelocityとRelease/Freeのパラメータ数値を調整します。

実際にVelocityとRelease/Freeのパラメータを調整したサウンドと、調整を行っていないサウンドを聴き比べてみましょう。

RGのステップシーケンサーには、「シーケンサーA」「シーケンサーB」が搭載されていますので、この動画は「シーケンサーA」「シーケンサーB」を使用して、VelocityとRelease/Freeのパラメータ数値を調整しているパターンと調整していない2つのパターンを交互に再生しています。

Releaseタイムを短くすることで、発音してから音が最小値へ達するまでの時間が短くなるので、ギターのカッティングを表現することができます。

なお、ステップシーケンサーに搭載されている以下画像赤枠部分のReleaseを有効にする場合、青枠部分のインジケータをONにする必要があります。

Release ON

Velocityの詳細については、以下のリンク先の【サウンド作成をしてみましょう。その3】をご確認ください。

なお、RGのAMPセクションにあるReleaseのパラメータ数値を最小方向へ調整することでも出力音声を短くプレイさせることもできます。Releaseタイムを調整した動画を作成してみましたので、確認してみましょう。

この動画のようにAMPセクションのReleaseを調整することで短いタイムのギターサウンドを作成することができますが、音符単位でタイムを調整する場合、ステップシーケンサーでReleaseタイムを調整したほうがグルーブを作るのに適しているかと思います。

完成したRGのカッティング・ギターを聴いてみよう

これまでの手順で作成しましたRGのカッティング・ギターとRob Papen PUNCH、SubBoomBassで作成したドラム、ベースパターンをあわせたデモトラックを聴いてみましょう。

RG完成版

このデモトラックで使用したPUNCHのドラム、SubBoomBassのベースのサウンド作成方法は以下のリンクを元に作成しておりますので、あわせてご参照ください。

以上でRGを使ったカッティング・ギター作成は終了です。

最後に、エレキギターなどでカッティング奏法を行う際、Down StrokeとUp Strokeの音量バランスや音符の長さなどがとても重要で、ある程度の練習も必要かと思います。

しかし、RGを使用することで、普段カッティング・ギターを弾かない方や、ギターを弾かない方にも簡単にリアルなカティング・ギターを作成することができますので、とても便利です。

そして、カッティング・ギターのイメージがなかなか湧かないと思われる方は60年代から70年代あたりのSOUL、R&B、FUNKなどの楽曲を聴いていただくと判りやすいかと思います。

また、RGはカッティング奏法以外に豊富なリズムギターを作成することができます。以下のリンク先でハードなギター作成を解説しておりますので、あわせてご参照ください。