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NUMA PLAYER ~無料で使える便利なバーチャル・インストゥルメント~ 【テクニック編】vol.6

エレピの音をエディットするポイント

Numa Playerのピアノ系音色の良さは定評がありますが、今回はエレピ音色をエディットする際のポイントを紹介しましょう。

図1:メインスクリーン

設定のポイント

エディットの参考例として、Bitwig Studio上で作成したトラックにNuma Playerのエレピによるパッド的な質感の白玉コードのパートを加えた場合で説明しましょう。

まずはウーリッツァー系のエレピ音色(ここでは“Wurly 200”を使用)のみを使用した場合は、このようなサウンドになります。

1パート目のみの2ミックスデモ

このパートは、SoundページのSound Controlsセクションは特に調整を行なっていませんが、EffectページのEQとコーラスエフェクトでサウンドを整えています。

図2:1パート目のSoundページの設定状態。本文の通りここではエディットを行なっていないが、必要に応じてToneとTineを調整すると良いだろう。

図3:1パート目のEffectページの設定状態。

エレピ系音色の場合は、ToneとTineを調整することによって、よりエレピらしいアタック感やサウンドに仕立てることができます。

しかしながら、少々サウンドに深みや広がりに物足りなさがあるので、もう1パートエレピ系の音色を足してサウンドの不足要素を補完しました。
今回はローズ系音色の“EP-Mark II”を選んでレイヤーしてみました。
音色の設定はToneとTineの値をデフォルト状態から少しブーストしている点は同じですが、Soundページではトレモロ効果、EffectページではEQとフェイザーを加えています。

図4:レイヤーで加えた2パート目のSoundページの設定状態。エディットした箇所は本文の通り。

図5:2パート目のEffectページの設定状態。

こちらだけをオケの中で鳴らしたサウンドはこのようになります。

2パート目のみの2ミックスデモ

そして、この2パートを適宜ボリュームバランスを調整して、

図6:今回のケースでは図のようなボリュームバランスに設定している。

オケ中で鳴らしたのがこちらです。

2パートとも鳴らした状態での2ミックスデモ

このようにプリセット音色を1パート使用するだけだとサウンド的に物足りなさがある場合には、不足する要素を補うような成分を持つ音色を足してみると良好なサウンドが得られることが多々あります。
Numa Playerの場合であれば、最大で4パートレイヤーの音色が作成できますので、サウンドメイクの際にもアイディア次第で納得いく作り込みができるでしょう。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。