前回はPro-C2の基本的な部分、何しろPro-C2はコンプレッサーのプラグインなので、まずはコンプレッサー部分の解説をしましたが、後半戦の今回はPro-C2をダッキングに使おうと思った場合の便利機能というか、ちょっとした目玉機能を紹介します。
なんとその名もSIDE CHAIN。
なんともストレートな名称の機能ですが、これがまたシンプルでとても使いやすいのです。
Pro-C2の便利機能、SIDE CHAIN
Pro-C2を起動するとこのようなGUIが表示されます。
画面中央下にSIDE CHAINというボタンが見えていますね。
これが今回紹介するSIDE CHAINの起動スイッチです。
クリックするとこのような画面が現れます。
SIDE CHAINは3バンドのEQとちょっとした設定のみの本当にシンプルな機能ですが、このEQはコンプが掛かったサウンドをイコライジングするためのものではなく、サイドチェイン入力したソースをフィルタリングして、どの帯域でダッキングするかを決めるというような使い方をします。
少し脱線します。
Pro-C2に興味を持ってくれる人には『サイドチェイン入力したソースをフィルタリングして、どの帯域でダッキングするかを決める』と聞いても特に問題ないと思いますが、この言葉が暗号に聞こえる方が読んでくれていた時のために、サラッと触りだけ説明しておきたいです。
まずサイドチェイン。
これはあるプラグインに対して別のトラックのオーディオ信号を受け渡して、そのオーディオ信号によってエフェクトの動作を変更するというような雰囲気で覚えておいてください。
次にダッキング。
これはサイドチェインといえばダッキングを指すと言わんばかりに良く使われる手法ですが、サイドチェインにオーディオが入力された時だけコンプが掛かるというものです。
たとえばコードを鳴らしているだけのシンセなどに掛けたコンプのサイドチェインに4つ打ちのバスドラの信号を渡すと、4つ打ちのバスドラが鳴っているタイミングでシンセのボリュームが下がるというような効果を作ります。
ソースは元素材というような意味なので、先程の暗号文は『サイドチェイン入力したオーディオを、EQでいらない部分を取り除いて、残った帯域でダッキングを掛ける』というような意味になります。
つまり、4つ打ちのバスドラの例で言うなら、サイドチェインに使用したいバスドラが独立したトラックではなく、ミックスされたループ素材だった場合などにも、バスドラの帯域だけを吸い出してダッキングに使用できるというわけですね。
EQはそれぞれのポイントをドラッグして設定を行ないます。
それぞれのポイントにカーソルを近づけるとOn/Offのスイッチや設定が表示されます。
ハイパスフィルター(赤)とローパスフィルター(紫)の間にはデフォルト設定ではオートになっていて、ハイパス/ローパスそれぞれの設定によって最適な値になるEQ(黄)があります。
中間のEQはフィルタータイプを、ハイパス/ローパスはそれぞれのフィルターカーブを選択可能です。
どこにどんな風にどれだけ掛けるか設定する
EQ(フィルター)以外では、信号のルーティングと効果レベルのシンプルなメニューがあります。
In/Ext:
サイドチェインに使用するオーディオをインターナルかエクスターナルかで選択します。
インターナルの場合はPro-C2がインサートされているトラックのオーディオをソースに使用、エクスターナルの場合は別のトラックからサイドチェイン入力されているオーディオをソースに使用します。
少しややこしいですが、インターナルの場合はPro-C2が起動しているトラックのオーディオをフィルタリングして特定の帯域にのみ反応するコンプを掛けられる、という何とも文章では伝わりづらい機能ですね。
Audition:
クリックして有効にするとサイドチェイン入力されているオーディオのフィルタリング後の結果を試聴できます。
コンプ通過後のサウンドではなく、どの帯域でコンプを掛けるかという帯域の試聴なのでご注意ください。
SIDE CHAIN LEVEL:
サイドチェインでダッキングするレベルを決めます。エフェクトのセンド量のようなニュアンスです。
STEREO LINK:
入力信号ステレオリンク量を調整します。
通常のステレオか、Mid / Side処理を行なうか、Midのみ、Sideのみの設定などをボタンで調整します。
STEREO LINK下のボタン(画像ではMIDとなっている)をクリックして、変更できます。
MID:MIDのみ、SIDE:SIDEのみ、M>S:MIDの信号でSIDEに適用、S>M:SIDEの信号でMIDに適用。
効果が判りやすいように極端な設定と、判りやすそうなフレーズでSIDE CHAINを使用している簡単な動画を作成しました。
ご参照ください。
いかがでしょうか?
ここにフィルターが着いていることでずいぶん楽になる作業があると思いませんか!?
興味を持ってくれた方は是非デモ版を試してみてくださいね。
それではまた次回!