(2015/06/24)
ここ2回ばかり、AMPとFILTERをADSRやMAIN LFOを使って動作させるという内容でお送りしました。
実際にはRAWだけの特別な機能でもないですが、RAWを購入してくれた方の中でシンセの仕組みにあまり詳しくない方にプリセットを自分の曲に合うようにセッティングするヒントになれば良いな、と。
今回もエンベロープやLFOについての内容をお送りしますが、今回はRAWの…というよりはRobPapenシンセサイザーの特徴と言っても良いと思うFreeMODについてです。
自由に使えるモジュレーションソース
前回、前々回とMAIN LFOにAMPやFILTERを同期させてサウンドに変化を与えるという内容でお送りしましたが、そもそもLFOに『MAIN』とついているのが何故か??というと、メインではないLFOがあるからです。
多くのRobPapenシンセサイザーと同じように、RAWにも2つのフリーエンベロープと2つのフリーLFOがあります。
RAWの画面左下、マルチパネルのMODボタンをクリックするとモジュレーションパネルが表示されます。
モジュレーションパネルは上下にメニューが分かれていて、上でFree Envの1/2、Free LFOの1/2を表示します。
下にはMODULATION MATRIXが表示されています。
このMODULATION MATRIXがRobPapen製品の特徴のひとつですが、8つのスロットにLFOやエンベロープはもちろんRAWの中の多くの機能を変調元/変調先として使用することができます。
言葉にするとややこしいですが、例えばベロシティの値でユニゾンのデチューンをコントロールしてみたり、エクスプレッションでAMPのLFO>VOLのレベルを変えてみたり…例を挙げ出すとそれはもう大変なくらいですが、『だいたい何でもできる』と思ってください。
『だいたい』と書いたのはできない組み合わせがパッと思い浮かばなかったからです。
Free ENVとFree LFOはMODULATION MATRIXと組み合わせる
今回はこれまで2回の流れでエンベロープとLFOに的を絞ってお送りします。
それぞれの切替ボタンをクリックすると、ENV 1/2、LFO 1/2が表示されます。
ENV 1/2はそれぞれ独立して、LFOは2つ一緒に表示されるのでパネルとしては3つです。
ENV 1/2にFADEがある以外は至ってシンプルなエンベロープとLFOですね。
FADEというのは通常のADSRのS(サスティン)の後にもう一度アタックを作るような機能です。
FADEの詳細は同じくRobPapen製品のBLADEの記事内で詳しく触れているので、ご参照ください。
BLADEで切り裂く!- その3 -「HARMOLATOR / XY PAD」の陰に隠れた名脇役たち
フリーエンベロープとフリーLFOはMODULATION MATRIXと組み合わせて使用することになります。
8つあるスロットの空きスロット(Noneと表示)のSOURCEをクリックすると、変調元となるソースの一覧が表示されます。
※画像は見やすいように2列に分けています。
ここで選択した項目で、RAWの各項目をコントロールします。
今回はフリーエンベロープ1でRAWコントロールのXYスクリーンをコントロールする例を紹介します。
RAWコントロールはドットを手動で動かしたり、その動きを記録して再現したり、丸や四角、直線や回転しながら中央へ、またはその逆などの半プリセットのような機能も充実していますが、もう少し正確にコントロールしたい場合などにはモジュレーションを使用した方が良い場合もあります。
仮にノートの入力に合わせてXYスクリーンのドット(XYフェーダー)を右上に向かって斜めに上がるように設定したいとします。
その場合、XYスクリーンを右クリック、『Set to Diagonal Line』を選択し、数値を45と入力すると、45度の斜線上をフェーダーが移動することになります。
スピードのコントロールも割と自由度が高いのですが、『右上に向かってどのくらい上がるのか』や『正確に1/8分音符で全開になって更に1/8分音符後に設定したパーセンテージまで下がる』というような細かいコントロールはできません。
そこで、フリーエンベロープとMODULATION MATRIXです!
具体的には以下のように設定します。
スロット1のソースにフリーエンベロープ1を選択し、DESTINATIONでOSC 1のRAW1 Xを選択
スロット2のソースにフリーエンベロープ1を選択し、DESTINATIONでOSC 1のRAW1 Yを選択
AMOUNTの%を上下にドラッグして適用量を決めたらフリーエンベロープ1で設定した通りにサウンドが変化します。
XYフェーダーを左下に移動した状態でAMOUNT100%で目一杯右上まで上がり、以下80%なら8割、50%なら半分といった具合です。
実際の操作とサウンドの変化を動画でご確認ください。
MODULATION MATRIXは自由度が高過ぎて逆に使い方が判らないと思われがちですが、見た目に反してシンプルな機能なのでいろんなソースでいろんな機能をコントロールしてみると、新しい発見がたくさんあると思いますよ!
それではまた次回!!