(2015/04/28)
4月もいよいよ終わりに近づいてもうすっかり春ですね。
ここ数日の関東では日中はもうまるで初夏のような日もありますが、初夏といえばそう。Audio Receiverです。
はい、初夏はまったく関係ないですが、少し前にBITWIG STUDIOの問い合わせでRoutorsに入っているAudio Receiverの意味が判らないという旨の質問がありました。
使い方はドラッグ&ドロップでロードしてインプットを選ぶだけの簡単操作なので、使い方自体は誰でも判る。
そうじゃなくて意味が判らない、と。
■ 記事一覧/もくじ:BITWIG STUDIOで良い感じに音楽を作ろう!
Sendトラックと似ているようで全然違う
Audio Receiverが何をするものかというと、他のトラックからのオーディオ信号を受け取るデバイスです。
入力ソース選択のプルダウンメニューとオーディオゲインとミックスレベル調整ノブのみのシンプルデバイス。
どのトラックからでもオーディオをルーティングできます。
ここで、人によってはただオーディオを分岐するだけで何をするの??と思うかも知れないですし、また人によってはSendトラックと同じじゃないか!と思うかも知れない。
確かにそうなのですが、細かく見て行くと実はだいぶできることが違うんですね。これが。
SendトラックとAudio Receiverの違いを見て行く前に、インサートやセンドという言葉を聞いて馴染みがない、または言葉は知ってるけど意味は良く判っていないという人がいたら、良い感じに説明してるページがあるので先に読んでみてください。
エフェクトのルーティング(インサート? センド? そもそも違いは何?)
平たく言ってしまうと、センドトラックは複数のトラックからひとつのトラックにオーディオ信号を渡して同じエフェクトを掛ける場合に使いますね。
それに対してAudio Receiverはひとつのオーディオ信号しか受けることができません。
何のために使うのか?というと、何にでも使えるので説明が難しいのですが、オーディオ信号を複製しているようなものだと考えてみてください。
トラックごと、またはクリップをデュプリケートすれば良いじゃないか!と思ってしまいそうですが、元のオーディオを波形編集した場合や、インストゥルメントトラックのクリップを編集した場合にも、Audio Receiverは元となるトラックのオーディオ出力をレシーブしているだけなので、常に元となるトラックと同じオーディオを受け取ることになります。
Sendトラックとの違いという点では、Sendトラックがマスターにのみオーディオ出力可能なのに対してAudio Receiverを起動したトラックの出力先はマスター以外にも他のトラックへ自由にルーティングできるというのも用途の違いに影響しますね。
PRE/POST信号をどこで抜き取るか?
Audio Receiverでオーディオ信号を抜き出す場合、PREかPOSTを選ぶことになります。
他にも該当トラックにエフェクトなどのデバイスが使用されている場合、そのデバイスの出力を直接抜き出すこともできます。
このPREとPOSTはAudio Receiverに限らずBITWIG STUDIOのいたるところで表示されます。
それぞれが何か?というと、前(PRE)か後(POST)か、ということです。
Audio ReceiverやSendトラックの場合はフェーダーの前か後かということになりますし、例えばリバーブでPRE DELAYと言えばリバーブが掛かる前のディレイ(原音に対してリバーブが掛かり始めるまでの時間)を指しますし、POST EQと言えばエフェクトの後処理を行うEQのことを指したりします。
Audio Receiverに限ってプリ・フェーダーとポスト・フェーダーで何が変わるのか?というと、大雑把にいうとボリュームです。フェーダーだけに。
大雑把過ぎました。
元トラックのフェーダーの前(PRE)で信号を抜いた場合、元トラックのフェーダーを下げてもAudio Receiverへの信号は変化しません。
逆に元トラックのフェーダーの後(POST)で信号を抜いた場合は、元トラックのフェーダーを下げるとAudio Receiverへの信号も下がっていきます。
PREとPOSTの違いを動画でご覧ください。
Audio Receiverを起動したトラックにCOMBフィルターをアサインして、モジュレーターのLFOで周期的にFrequencyを動かしている音が元トラックと一緒にフェードアウトしたり、Audio Receiverを起動したトラックの音だけ残っていたりするのが判りますね。
同じことはSendトラックにも言えます。
Sendトラックの場合だとエフェクトだけではなくて、PREフェーダーでサウンドをSendして別のミックスを作ることもできます。
これはライブハウスのステージなどで転がしモニターに演奏者や歌い手の好みで送る時に使う方法ですね。
BITWIG STUDIOのシグナルルーティングの自由度の高さはかなりのものなので、他のDAWソフトではかなり工夫しないとできない表現も簡単にできるものがあります。
自由は発想とBITWIG STUDIOで良い感じに音楽制作を楽しんでください!
それではまた次回!!