(2013/12/4)
GrandVJ 2 XTのVideoMapperでプロジェクションマッピングを行う場合、GrandVJのモードはSynthモードとMixerモードのどちらが最適か?というお問い合わせをいただきました。
せっかくなので今回はその辺りの解説を行ってみたいと思います。
その前に、GrandVJのSynthモードとMixerモードの違いについてご存知ない方は、ArKaos GrandVJ発売直前リポート 2をご参照ください。
GrandVJのSynthモードとMixerモードの違いについて
解説はGrandVJ 1.6.5の時のものですが、機能についてはほぼ同じです。
SynthモードとMixerモードのどちらが最適か?
2つのモードにはそれぞれ得意不得意がありますが、プロジェクションマッピングを行う際にどちらが最適か?となると、「投射する映像によって異なります」ということになります。
極端な話し、映像作品はすでに作ってあって、マッピングを行うサーフェスも1つということであれば、どちらのモードでも構いません。
では逆にどのような場合に使い分けるべきか?と考えてみます。
複数の映像の絡み方によります
プロジェクションマッピングを行う際に、VJプレイに近い形でリアルタイムに映像を切り替えて行くというような場合、どちらのモードを使うかで快適性が変わります。
2つのモードの決定的な違いはMixerモードのレイヤーの有無です。
レイヤーで行う表現はSynthモードでは再現が困難または不可能なので、複数の映像をモーフィング(徐々に切り替わる)させるなどの表現を多用する場合、Mixerモードにアドバンテージがありますね。
Mixerモードだけにミックスするなら
サーフェスを割り振る先がSynthモードとMixerモードで異なります。
Mixerモードは8つのレイヤーに映像をトリガーすることになります。
同じように、サーフェスの割当もレイヤーに対して行います。
この点からMixerモードでは最大8までのサーフェスしか使用できないということになります。
※ グループを組んでいる場合は8ヵ所以上のサーフェスを使用できますが、レイヤーに割り当てるアウトプットは8まで
サーフェスの中でモーフィングを行おうとすると、複数のレイヤーを同一サーフェスに割り当てる必要があるため、割り当てられるサーフェスの数は更に少なくなります。
画像左側の①は1から4で1つのサーフェス、5から8で1つのサーフェスを使用するように設定したもの。
画像右側②は8つのレイヤーすべてにサーフェスを割り当てるように設定したものです。
①の設定なら各サーフェスの中で4レイヤーのモーフィングなどが行えますが、2ヵ所にしか投影できないということになります。
逆に②のように各レイヤーに個別のサーフェスを設定した場合、8ヵ所に投影できる代わりにレイヤー同士のモーフィングなどはできなくなってしまいます。
Synthモードの利点は?
前項の画像の②の設定のように、各レイヤーにそれぞれサーフェスを設定するというような場合、設定する手間が増えるばかりで利点が少ないといえます。
このような時はSynthモードがおすすめです。
SynthモードはMixerモードがレイヤーに対してアウトプットを設定するのに対し、セルに直接アウトプットを設定します。
つまり、Mixerモードではレイヤーに出力先(サーフェス)が割り当てられていて、セルからはどのレイヤー(サーフェス)にトリガーするのも自由なのに対し、Synthモードではあらかじめ「この映像はこの場所(サーフェス)にトリガーされる」と指定しておくことになります。
サーフェスを多用するようなマッピングが必要な場合には断然Synthモードが有利です。
ただし、仮に32個のセルに32個のサーフェスを割り当てているというような場合にも、同時にトリガーできるセルの数はMixerモードと同様に8個までとなっています。
このような場合9個目のセルがトリガーされた瞬間にはじめにトリガーした映像が停止します。
Synthモードで多数のセルを使用した表現を行う場合、この法則を考慮してコンテンツを作成する必要があります。ご注意ください。
サラッと説明してみましたが、もちろん「どちらのモードを使用しなければならない」とか「何が正解」ということはないので、実際にプロジェクションマッピングを行う際は各モードの利点を踏まえて、使いやすいモードをご選択ください。
それでは今回はこの辺で。
また次回!
- 前回記事:プロジェクションマッピングの実践例