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SYNAPSE AUDIOでシナプス接続:Episode 0

【連載】SYNAPSE AUDIOでシナプス接続:Episode 0 – 各製品の概要

先頃「The Legend HZ」をリリースしたSynapse Audio Software社について紹介しましょう。

Synapse Audio Software社は拠点をドイツに置き、Richard Hoffmannを中心とした高品質シンセサイザーとエフェクトプラグイン開発を行なっている非常に高い技術力を持った老舗のソフトウェアデベロッパーです。

今ではあまり知られていませんが、かつて2000年代前半には「ORION」というバーチャルスタジオソフト(※)や

「Scorpion」「X-POLY」などのソフトシンセ製品をリリースしており、

かくいう私も愛用していた製品が多数あります。

(※)バーチャルスタジオソフトとは、MIDIシーケンサー(多くはパターンシーケンサー型)と各種ソフトウェア音源、エフェクト、ミキシング機能を一体化したオールインワンソフトウェアで、現在も販売しているReason Studios社の「Reason」やARTURIA社の「Storm」(現在販売終了)などがある。

今回は、同社製品のラインアップを簡単に紹介していきましょう。


The Legend HZ

映画音楽界の巨匠ハンス・ジマー氏とのコラボレーションによって開発されたThe Legend HZは、ビンテージアナログシンセの名機をエミュレートした本製品の前身であるアナログモデリング・ソフトウェアシンセサイザー「The Legend」を継承した進化版です。今日の映画音楽制作を始めとした音楽制作で使用する際に最適化され、実機のサウンド特性が忠実に再現されているのが特徴となります。


DUNE 3

最初のバージョンのリリース時にはバーチャルアナログシンセサイザー色の強い製品でしたが、バージョンを重ねるにつれて様々な機能やシンセシスが追加されています。現在のバージョン3では、バーチャルアナログに加え、FMシンセシス、WAVインポート機能を持ったウェーブテーブルシンセシスなどが追加され、マルチシンセシス音源へと進化しています。前バージョンのDUNE 2と完全互換のため、DUNE 2のプリセットをインポートが可能です。


Hydra

Hydraは同社製品としては比較的初期に開発されたマルチモデル・シンセサイザーです。オシレーター1と2にはデジタル波形も用意されている3基のオシレータを搭載し、そのオシレーターの組合せによる3種類のルーティングモデルを装備しています。フェーズ・モジュレーションやリング・モジュレーションなどによるサウンドメイクが行なえ、FMシンセシス的なサウンドが得られます。


Obsession

Obsessionは、ビンテージ・ポリフォニック・シンセサイザーの名機をエミュレートした製品で、従来にはなかった細部にわたって個々のボイスコントロールなどが可能なアナログモデリング・ソフトウェアシンセサイザーです。


次回から各製品の解説をしていこうと思います。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。