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Current沼にハマってみよう Vol.2

第2回:“WAVETABLE”ビューとは?

今回からCurrentの各機能について順を追って解説していきたいと思います。

まずはエンジンビューの中から“WAVETABLE”ビューを紹介しましょう。

ENGINEセクション(その1):ウェーブテーブルシンセシスエンジン部をチェック

Currentは、GUI左側にENGINE、EFFECT、STREAMの各ビューを切替ボタンが配置され、それぞれを選ぶと右側に各ビューの画面が表示されます。

図1:Streamの各機能はここで切り替える。上から順にENGINE、EFFECT、STREAMとなっている。

起動時にはENGINEビューの状態になっていますが、それ以外の機能を使用したい場合にはここで切り替えましょう。

このENGINEビューでは、前回紹介した各種シンセエンジン、サンプラー、フィルター、FM/AMがタブで分けられており、各タブを選択して意図するエディットを進めていきます。

図2:エンジン内の各機能はここで切り替える。左から順にWAVETABLES、GRANULAR、SUB/SAMPLER、前述のシンセシス群と少し分かれた位置にFILTERS、FM/AMが配置されている。

WAVETABLESを選ぶと、シンセのエディットページらしいGUIで、各パラメーターが表示され、出力する波形に関する設定が行なえます。

GRANULAR、SUB/SAMPLERなど他のシンセシスに関しても同様ですが、Currentでは、シンセシス部分で出力波形の設定を行ない、GUI下部にあるエンベロープやLFOで変調を加え、フィルターやFM変調などを適宜活用していくのが基本的なサウンドメイクのプロセスとなります。

では細部を見ていきましょう。

オシレーターのアクティブボタンの横には、選択している波形名が表示されており、クリックするとオシレーターで使用可能な波形のリストが表示されます。

図3、4:本文参照。

波形の種類は非常に多いのですが、リストの左側のカテゴリーで絞り込めるようになっています。良く使用する波形は名前の右の♥マークをクリックすると、“FAVORITES”に登録でき、手早く選び出すことができます。

図5、6:本文参照。

基本的にCurrentの波形はウェーブテーブル波形ですので、1つのウェーブテーブル波形内に1サイクル波形(シングル波形)が複数含まれています。ウェーブテーブル波形内の特定の位置のシングル波形は、Positionノブを使用して位置を確認したり、調整することができます。

図7:このノブをドラッグして動かすと波形のポジションが変更できる。

波形のエディットを行なう際にはGUI中で波形表示されている部分をクリックするごとに選択している位置のシングル波形の状態とウェーブテーブル波形全体の立体表示を切り替えられます。

図8、9:黄色で囲んだ部分をクリックするごとにシングル波形表示(図8)、ウェーブテーブル全体表示(図9)が切り替わる。

オシレーターはユニゾン発音の設定が可能で、1オシレーターごとに最大16ボイスまでのユニゾン設定が行なえ、ボイス間のデチューンによるコーラス効果や広がり方の設定も可能です。

図10:黄色で囲んだ部分でユニゾン設定を行なう。

この他、ウェーブテーブルオシレーターにはユニークな機能としてWAVE、WARPという2種類のエフェクトが装備されています。

WAVEエフェクトは、ハードシンク、デチューンされたフランジング、ビットリダクションなどの波形整形を行なうエフェクト、WARPエフェクトは、周波数ドメインと加算プロセスを使用したフィルタリングやフォルマントシフト、ハーモニックシフトなどのエフェクトを付加するものになります。各エフェクト共にノブがエフェクトのかかり具合、ノブの上にはエフェクトタイプが表示され、クリックすることでタイプを変更できます。

図11:左側の黄色で囲んだ部分でWAVEエフェクト、右側の黄色で囲んだ部分でWARPエフェクトを設定する。

なお、今回の説明では触れていませんが、オシレーター波形は外部からのオーディオデータをインポートしてウェーブテーブル波形として使用することなどもできます。これについては別途改めて紹介したいと思います。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。