第1回:QUAD
Rob Papen社製品の共通する特徴は、シンセ、エフェクト問わずいずれも個性的なサウンドを持っていることが挙げられます。
ここでは、各製品を使用してデモトラックを制作しつつ、トラック制作で使用したプリセットを紹介しつつ、製品の魅力を紹介したいと思います。
まずはQUADを紹介しましょう。
QUADの製品概要
Rob Papenの“QUAD”は、独自のフェイズディストーションとウェーブシェイパー・ツールを始め、アルペジエーター機能やXYパッドを4個装備した16ボイス・2オシレーター仕様のシンセサイザーです。
QUADの各オシレーターは2個のXYパッドによって直感的な操作が行なえる他、異なるルーティング・オプションを持つ36種類のアナログ・モデリング・フィルターを装備。また、16のモジュレーション・マトリクスによるルーティングが可能で、多彩なモジュレーションが容易に設定できます。830以上のプリセット音色は、オーソドックスなアナログシンセ波形を使用した太く激しいサウンドから、コンテンポラリーなオシレーター波形を使用し、モジュレーション・マトリクスやX/Yパッドを活用したシンセパッドなど、多くのジャンルのニーズに応えるシンセサイザーです。
QUADのプリセット音色を試奏してみた
QUADのプリセット音色を試してみるとフェイズディストーションとウェーブシェイパーをX/Yパッドで時間的変化を表現したパッドサウンドやアルペジエーター機能を活用したパーカッシブな音色が印象的です。それらの音色をただ弾いて鳴らすだけでも曲のイメージが膨らんでくるように思います。
アルペジエーターを使用されているプリセットを複数組み合わせるだけでもラフスケッチ的なトラックが作成できるので、トラックメイクの際にも重宝するように思いました。
QUADのプリセットを使用したデモトラック
プリセットを一通り試したので、それらを活用してデモトラックを作成してみました。基本的にプリセットは音色によってエフェクトやエンベロープなどを調整を行なっていますが、極力エディット無しで使用しています。エフェクトについてもQUADに装備しているもののみを使用し、他のプラグインエフェクトなどは不使用です。
トラック内で使用したQUADは全部で8台で、デモトラック中で使用したプリセットは以下のとおりです。
Epic Trailer JoMal
アルペジエーターによるリズムシーケンスでキックのループのようなフレーズが演奏できるプリセットです。これをトラックのベースとなるリズムループに使用しました。
Crime Show JoMal
この音色もアルペジエーターが活用されたプリセットで、エスニックなテイストが強く感じられるサウンドです。前述の“Epic Trailer JoMal”と組み合わせてトラックの骨格を作るのに使用しています。
A Moonpad
ホワイトノイズとアナログシンセ波形を使用したパッド音色で、トラック中ではバックグラウンドでやや控えめに終始鳴らしています。
Galaxy X Arp JoMal
アタックのハッキリしたPluck系プリセットです。この音色もアルペジエーターが設定されていますので、トラック中でもそのままシーケンスフレーズで使用しています。
Quad ElecTubeSine
中低域では民族楽器の打楽器風音色の質感から高域になるにつれてチャイムのような音色になる個性的なベル系音色です。広い音域に渡るシーケンスフレーズのパートで使用しました。
Quad Sweep
フェイズディストーションによる変調をX/Yパッドで更にモジュレートしたオシレーター波形を使用したQUADならではのシンセパッド音色です。
Rob his VerbLead
アナログシンセ波形のノコギリ波をデチューンさせたシンセリード音色で、ファットな存在感あるサウンドとブラスのようなアタック感が特徴的です。
Vulture Pad 1 JoRo
フェイズディストーションで変調した矩形波をベースにしたシンセパッド音色です。アナログシンセ波形が元になっていますが、デジタルシンセのような質感があります。