(2014/10/24)
Mixcraftの魅力をお伝えしている本連載。連載を一新してからは、マスタリングを取り上げています。
前回は、1つのオーディオ・ファイルにまとまった状態のものに対し、トータルEQをかけて、ボーカル・トラックの調整を行いました。
ボリューム・フェーダーで調整した音源とも比べてみましたが、だいぶ印象が違ったかと思います。
歌ものの楽曲では、特殊な場合を除いて一番重要なパートは、ボーカルです。
音楽制作や楽器の演奏などをしない方にとって、楽曲を聴く際はバックのギターやドラム、ベースなどにあまり耳が行かず、常にボーカルを意識して聴いているのではないでしょうか。
そのため、歌ものの楽曲をミックス、マスタリングする場合、一番気をつけなければいけないのが「ボーカルの処理」です。
マスタリングからは少し離れますが、前回からの続きということで、今回もボーカル処理について取り上げてみたいと思います。
効率良くボーカル処理を行うために、サブミックス・トラックを活用する!
Mixcraftには、各トラックの出力先をまとめることができる、サブミックス・トラックがあります。
このサブミックス・トラックの使用方法ですが、サブミックス・トラックを作成すると、各トラックの出力先に作成したサブミックス・トラックを選択することができます。
トラックの出力先をサブミックス・トラックに選択すると、選択されたトラックは、サブミックス・トラックの隣りに配置されます。
この状態は、オーディオ・トラック1とサブミックス・トラックが繋がっている状態です。
そのため、オーディオ・トラック1のボリュームは、オーディオ・トラック1のボリューム・フェーダーと、サブミックス・トラックのボリューム・フェーダーの両方から調整可能です。
このサブミックス・トラックの利点ですが、複数のトラックの出力先を1つにまとめることで、ボリューム管理が容易になることです。
例えば、いくつもボーカル・トラックが重なったパートがあるとします。
このボーカル・パート内で、ボリューム・フェーダーやパン・ポットを使って、聴こえ方を調整しました。
ちなみに調整を終えたボーカル・パートは、以下のような音源です。
では、バックのオケと合わせて聴いてみたら、ボーカル・パートが大きすぎた、小さすぎたということはよくあるトラブルです。
今回は、ボーカル・パートがバックに比べて小さすぎました。
これを修正するには、ボーカル・パートのオーディオ・トラックを1つずつボリューム調整を行なう必要があり、非常に手間がかかります。
しかし、サブミックス・トラックでコーラス・パートをまとめていれば、ボーカル・パート全体のボリュームは、サブミックス・トラックのボリューム・フェーダー1つで行えます。
また、サブミックス・トラックのもう1つの利点としては、エフェクトをサブミックス・トラックにまとめられているトラック全体に、同じ効果量のエフェクトを適用しやすい点です。
ボーカル・パートにかけるエフェクトと言えば、「リバーブ」ですが、コーラス・パート全体にリバーブをセンド・エフェクトでかけるには、各トラックに対して1つ1つルーティングを行う必要があります。
しかし、サブミックス・トラックにまとめていれば、サブミックス・トラックに対し、センド・エフェクトのルーティングを組むことで、全てのボーカル・パートへ同じ効果量のリバーブをかけることができます。
ボーカル・パートの音量を調整し、完成した音源が以下の音源です。
また、ボーカル・トラックを調整する観点からサブミックス・トラックの使用を考えた場合、ギターやドラムなどのオケ・パートと、ボーカル・パートをサブミックス・トラックで分けてしまうという考えもあります。
これを行っていれば、最後の段階で、「ボーカルがオケに埋もれてしまっている。しかし、これ以上ボーカルの音量を上げてしまうと、音が歪んでしまう」といった場合、オケのサブミックス・トラックのボリュームを下げることで問題解消です。
このように、作業の効率化において、サブミックス・トラックの活用は欠かせません。
ことボーカル処理においては、最後のボリューム調整が重要になってきますので、サブミックス・トラックで作業の効率化を図ってください。
それでは!