(2014/08/15)
Mixcraftの魅力をお伝えしている本連載。連載を一新してからは、マスタリングを取り上げています。
前回は、マスタリング時に行われる「MS処理」の概要について説明を行いました。MS処理を簡単に説明すると、2mixにまとめられているオーディオ・ファイルからMid(中央)の音の成分、Side(両サイド)の音の成分をそれぞれ取り出し、個別に処理を行うものです。
このMS処理ですが、専用のエフェクトがなくとも楽曲のバウンスを複雑に行うことで、Mid、Sideの音の成分を取り出すことも可能ですが、手間がかかってしまいます。
Mixcraft Pro Studio 6には、MS処理を行うことができるエフェクトが3種類もあり、それぞれが特徴あるエフェクトです。今回は、これらエフェクトの機能説明を行います。
Mid-Side Envelope Follower
まずは、Mid-Side Envelope Follower(以下、EF)からです。画面左側がMid成分に行う処理、画面右側がSide成分に行う処理です。
なお、Mid-Side Harmonic Vitaliser、Mid-Side Stereophase Filterでも共通の機能ですが、Mid level、Side levelはそれぞれの音の成分の音量調整を行います。この機能を確かめるため、以下の音源を用意しました。
この音源は、元の音源 → Mid livelを0にした音源 → Side levelを0にした場合の順で流れます。
MidとSideで、別々の処理が行われていることが実感できたと思います。
次に、EF独自の機能についてですが、Mid、Side共に9種類のフィルターを適用することが可能です。
そのため、MidとSideの音の成分に対し、個別の周波数調整を行えます。
また、Midにはリングモジュレーター、Sideへはディストーションのエフェクトが搭載されており、強烈な音の変化も生み出せます。これらは、音の調整として使うというよりは、楽曲に展開をもたらすための飛び道具的な使い方が効果的かと思います。
先ほどの音源に、EFを適用してみました。効果をご確認ください。
Mid-Side Harmonic Vitaliser
続いて、Mid-Side Harmonic Vitaliser(以下、HV)の解説です。Mid、Sideのレベル調整は可能ですが、基本的にはSideの成分に対して変化を与えるエフェクトです。
Side harmonic generator 1、Side harmonic generator 2パネルで、Sideの音の成分に周波数変化、ディレイの効果をもたらし、音の広がりといった空間調整を行います。
音の空間調整は、最初のうちは難しく感じるかもしれません。しかし、HVには良質なプリセットが用意されているため、初めにプリセットの選択を行い、それから微調整を行っていく方が上手くいくと思います。
では、HVの効果を耳で確認しましょう!効果の違いをはっきりご体感いただくために、最初に元音源 → エフェクト適用後の音源という順番に流れます。
Mid-Side Stereophase Filter
最後は、Mid-Side Stereophase Filter(以下、SF)です。
こちらもSideの音の成分に効果を適用するエフェクトですが、先ほどのHVとは異なり、エグイ効果をもたらします。
特にside phaserパネルのPhaserスイッチをオンにすると、Side成分にだけフェイザーの効果がもたらされるという変わった音色変化が生まれます。
これらがMixcraft Pro Studio 6にバンドルされていて、なおかつMS処理が行えるエフェクトたちです。MS処理が行えるエフェクトは決して多くはないので、Mixcraft Pro Studio 6をお持ちのお客様はMS処理を存分にお試しください。
それでは、次回もお楽しみに!
- 前回記事:MS処理?MS収音方式??
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