【連載】Mixcraft 6で音と映像をミックス2 Vol.11!

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(2014/07/25)

Mixcraftの魅力をお伝えしている本連載。連載を一新してからは、マスタリングを取り上げています。

今回のお題は、マルチバンド・コンプレッサーです。マルチバンド・コンプレッサーとは、周波数帯域ごとに音の圧縮が行えるコンプレッサーで、マスタリングでの使用頻度が高いコンプレッサーです。

細かい設定が可能で、非常に使い勝手のよいコンプレッサーですが、その分パラメーターも多く、難解な印象を持ってしまいがちです。しかし、何物にも代え難い利点を持つエフェクトなので、じっくり説明を行っていきます。


マルチバンド・コンプレッサーの使用理由

以前、Mixcraft 6で音と映像をミックス Vol.17!でコンプレッサーの説明を行いましたが、マルチバンド・コンプレッサーも基本的には同じ働きを行います。

通常のコンプレッサーと大きく違う点は、周波数帯域ごとに音の圧縮が行える点です。では、周波数帯域ごとに音の圧縮が行えると、どのような利点があるか考えてみましょう!

以下の図は、Mixcraft Pro Studio 6に搭載しているVoxengo Spectrum Analyzerで、ある音源の周波数特性を表示したものです。

▼Voxengo Spectrum Analyzer

Voxengo Spectrum Analyzer

これをご覧いただくと、周波数帯域ごとに音量が異なっていることが分かります。そして、赤丸部分の音量が飛び出していることも確認できると思います。

この赤丸部分の周波数帯域だけ音量の「圧縮」を行うことができれば、全体の音量を上げることができます。つまり、音圧アップに繋がります。

※音圧アップについては、Mixcraft 6で音と映像をミックス2 Vol.4!もご参照ください。

マルチバンド・コンプレッサーとは

マルチバンド・コンプレッサーを理解するには、まずコンプレッサーの働きについて把握している必要があります。

※コンプレッサーについては、Mixcraft 6で音と映像をミックス Vol.16!をご覧ください。

コンプレッサーの働きを理解していれば、マルチバンド・コンプレッサーの構造を理解することは簡単です。

Mixcraft Pro Studio 6には、Broadcast Multiband Compressor(以下BMS)というマルチバンド・コンプレッサーがありますので、BMSを使ってマルチバンド・コンプレッサーの働きを解説していきます。

先ほど、「マルチバンド・コンプレッサーは、周波数帯域ごとに音の圧縮が行える」とご説明しましたが、マルチバンド・コンプレッサーの効果が分かりやすいように、全ての周波数帯域が含まれるホワイト・ノイズを用意しました。
ホワイト・ノイズをVoxengo Spectrum Analyzerで確認すると、以下のような周波数特性を持っています 。

▼Voxengo Spectrum Analyzerでホワイト・ノイズをチェック

Voxengo Spectrum Analyzerでホワイト・ノイズをチェック

では、このホワイト・ノイズにBMSをかけてみます。BMSの画面は、以下の通りです。

▼Broadcast Multiband Compressor

Broadcast Multiband Compressor

「THRESHOLD」、「RATIO」、「GAIN」という、お馴染みのパラメータが確認できます。しかし、これらが3つずつ用意されていますね。これは、低域(青枠)、中域(赤枠)、高域(黄枠)というように、周波数帯域を3段階に分けて音の圧縮が行えることを表しています。

それでは、ホワイト・ノイズの中域にだけ圧縮をかけてみたいと思います。
上の画像の赤枠部分のスレッショルドだけ下げていくと、Voxengo Spectrum Analyzerは、以下のように変化します。

▼Voxengo Spectrum Analyzer BMC処理後

Voxengo Spectrum Analyzer BMC処理後

真ん中の帯域にだけ、圧縮がかかっていることが分かります。なお、低域、高域の圧縮を行うと、それぞれ以下の通りに変化します。

▼低域のみBMC処理後

低域のみBMC処理後

▼高域のみBMC処理後

高域のみBMC処理後

周波数帯域ごとに圧縮を行う」という働きのイメージはできたでしょうか?

このようにマルチバンド・コンプレッサーは、周波数帯域ごとに音の圧縮が行えます。では、このマルチバンド・コンプレッサーを、マスタリングでどのように使用していくか?については、次回ご紹介いたします。
それでは!