【連載】Mixcraft 6で音と映像をミックス Vol.17!

Mixcraft Pro 6で音と映像をミックス ヘッダー

(2013/12/6)

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復習:コンプレッサーの効果

楽曲制作を通して、Mixcraftの魅力をお伝えしている本連載。

前回は”コンプレッサー”の効果から、スレッショルド、レシオ、ゲインという基本的なパラメーターをご説明いたしました。

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コンプレッサーの働きについて簡単に復習すると、コンプレッサーはコンプレッサーに入力されたサウンドで、音量が大きい部分だけを圧縮し、全体的な音量を増幅するという働きを持っています。

音量の大小の境目を設定するのが“スレッショルド”で、大きい音量をどの程度圧縮するかを決めるパラメーターが“レシオ”でした。2つのパラメーターの働きを図で表すと、以下のようになります。

図解レシオ

そうすると、コンプレッサーで圧縮した分だけ、音量レベルに余裕が出来ます。

圧縮分図解

この余裕が出来た分をコンプレッサーのゲインで上げることで、全体的に音量が上がります。

圧縮余裕分

ここまでが、前回の記事でご紹介したコンプレッサーの働きです。
今回は、前回ご紹介できなかったパラメーター、アタックについて説明していきます。

アタック・タイムについて

コンプレッサーは、コンプレッサーに入力された音がスレッショルドで設定した値を超えると、レシオで設定した比率で圧縮を行います。

この圧縮ですが、スレッショルド・レベルを超えてから、圧縮を開始するタイミングを、1/1000秒単位で調整することができます。それが、アタック・タイムです。

アタックタイム

スレッショルド・レベルは、コンプレッサーが動作する”条件”です。
“スレッショルド・レベルを超える ≠ 圧縮を開始する”であり、スレッショルド・レベルを超えて、アタック・タイムで設定した時間分経過してから、レシオで設定した比率で圧縮を行います。

図で説明すると、以下の通りです。

レシオ圧縮図

実際の波形に置き換えると、

圧縮波形図

このような働きをしています。
アタック・タイムで設定した時間から圧縮を開始するため、アタック・タイム内の波形は圧縮されません。

そのため、音源のアタック部分(音の立ち上がりの部分)に影響を与えずに、コンプレッサーで圧縮を行う場合は、アタック・タイムを調整します。

それでは上記内容を、Mixcraftのライブラリーから音源を使用し、実践いたします。

上記の音源を波形で表示すると、以下の通りです。

音源波形

では、アタック・タイムを最速にし、コンプレッサーをかけた音源がこちらです。

アタック・タイム最速

コンプレッサーをかける前は、スネア・ドラムは歯切れのよい音色でした。しかし、コンプレッサーをかけた後では、音がつぶれたような音色になってしまいました。

コンプレッサー適用前後の音源を比べると、音質が変化しています。

両者の波形を比較してみましょう。

波形比較

元の音源は、波形で見ても、音で聴いても、音の立ち上がりが速いことが分かります。この音源に、アタックを最速にしたコンプレッサーで圧縮を行うことで、スレッショルド・レベルを超えた音源に対し、すぐさま圧縮を行っています。

次に、元の音源に対し、アタック・タイムを少し遅くした設定で、コンプレッサーをかけました。

アタックタイム低

アタック・タイムの違いによる音質を聴き比べていただくため、元音源→コンプレッサー適用(アタック・タイム最速)→コンプレッサー適用(アタック・タイムを調整後)の順番で鳴るよう、動画を用意いたしました。ご覧ください。

アタック・タイムが最速の場合は、音がつぶれたような音色でしたが、アタック・タイムを調整すると、元の音源が持つ音のアタック成分を残しつつ、余韻が持ち上げられています。

このアタック・タイムですが、スレッショルド、レシオ、ゲインに比べ、効果が分かりづらいパラメーターです。また、単位が1/1000秒のため、調整が難しいパラメータでもあります。

しかし、自然な圧縮を行うには、必要不可欠なパラメーターであるため、音の変化を判断できるまで、何度もアタック・タイムを調整してみてください。

来週はコンプレッサーの最後のパラメーター、“リリース・タイム”について解説いたします。

アタック・タイムと同様、効果が分かりづらいパラメーターですが、楽曲の”ノリ”に関わる重要なパラメーターですので、丁寧に解説を行って行きます。

それでは!

投稿者:うえだ

うえだ

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