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Sledgeでハードシンセをマスターしよう – vol.4

第4回:主要パラメーターの調整でサウンドの変化を理解する

今回はSledgeの1オシレーターを使用して、音色作りに不可欠な主要パラメーターを一つずつ変化させてどのようにサウンドが変化するかを見ていきましょう。

カットオフフリケンシー調整でシンプルなシンセリードにしてみる

前回の最後で到達した状態でも、ほとんどシンセリードらしい音色ですが、少々味気なさがありますので、一手間かけてよりシンセリードらしさを演出してみましょう。

まず、オシレーターから出力されるノコギリ波をフィルターのカットオフフリケンシーで調整します。カットオフフリケンシーを閉じていくほど(=ノブを左に回していくほど)、音色が柔らかい質感を持ったサウンドに変化していくのがわかると思います。

カットオフフリケンシーで音色を調整する際には、どのようなシチュエーションで使用するかをイメージしながら、調整すると良いでしょう。

経験則ながら、アップテンポでノリの良い曲調では明るめの音色(=フィルターを開いた状態)、ミディアム~スローテンポで落ち着いた曲調では、柔らかい音色(=フィルターを閉じた状態)のサウンドがマッチするように思います。ここでは少し柔らかいサウンドとなる60~120Hzあたり(Sledgeの設定値では20~30程度)に設定してみます。

シンセリードにブラス風のアタック感を付加してみる

カットオフフリケンシーの調整の次は、音の出方(=アタック感)を調整していきます。サウンドの変化をわかりやすくするために、フィルターのKEYTRACK値=64程度、AMOUNT値=+24~36程度に設定します。

現状では、フィルターとアンプのエンベロープの設定が両方とも、

  • アタックタイム:最速
  • ディケイタイム:最長
  • サスティンレベル:最大
  • リリース;最速

となっていますが、この状態からフィルターエンベロープのアタックタイムを少しずつ遅くしてみましょう。アタックタイム値が30前後を超える位から鍵盤を弾いた時にトランペットなどの管楽器のような音の出方になってくるのがわかると思います。

続いてフィルターエンベロープのSUSTAINを64程度に設定してDECAYの値を調整してみましょう。値が40程度になるとアタック時の音色変化がはっきりと感じられるようになったと思います。

このようにフィルターエンベロープを調整することで音色が時間的にどのように変化するかを設定できます。

ブラス風のサウンドからストリングス風のサウンドにしてみる

この状態から今度はアンプのエンベロープを調整してみましょう。

まず、先ほど調整したフィルターエンベロープのATTACKの値を0に戻してから、アンプのアタックタイムを変化させてみましょう。だんだんと音の立ち上がり方がATTACKが64前後位からバイオリンなどの弦楽器のようなゆっくりとした立ち上がりになっていくのがわかると思います。

続いてリリースタイムを徐々に遅くしてみると、鍵盤から弾いている手を放しても音の余韻が残るようになり、ストリングス風の音色に聴こえてくるでしょう。

このようにアンプエンベロープを調整することで音量が時間的にどのように変化するかを設定できます。

1オシレーターのみを使用してフィルターとエンベロープの調整を行なうと、シンプルなサウンドですが各パラメーター調整による音色の変化が実感できると思います。

オシレーターの波形を変更したり、カットオフフリケンシーや各エンベロープを色々と変化させてみると更に理解が深まりますので、色々と試してみると良いでしょう。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。