You are currently viewing めざせ!Bitwig Studio 4.2 デバイスマスター – vol.4

めざせ!Bitwig Studio 4.2 デバイスマスター – vol.4

第4回:バージョン4.3アップデートについて

先日のバージョン4.2へのアップデートから早くもバージョン4.3のアップデートがアナウンスされました。

正式リリースは2022年第2四半期(6月一杯)とのことで、現在はベータ版(現在のバージョンは4.3 Beta3)が公開されています。今回はその情報について少しだけ紹介したいと思います。

バージョン4.3アップデートでは、以下のような内容がアナウンスされています。

  • 新しいFXデバイス「Convolution(コンボリューション)」と「Delay+」の追加
  • Polymerの2個のモジュールの刷新
  • FXトラックに独自のセンドを装備し、ダイレクト・フィードバック・ルーティング機能の追加
  • ADSRモジュールにサスティンを中心としたバイポーラ信号用「バイアス」出力ポートを搭載
  • メモなどをトラック、レイヤー、アレンジャーのキューマーカー、ランチャーのシーンに多言語(日本語含む)で自由に「コメント」を記入可能
  • Linux環境におけるPipeWireオーディオドライバーのサポート

正式リリース前に、少しだけ新規追加のFXデバイスのポイントを紹介しましょう。

まずは、Convolution(コンボリューション)です。

図1:ConvolutionをFXトラックに追加した状態。GUI中央の波形が表示されている部分にオーディオファイルをドラッグ&ドロップすると、その波形をIRのデータとして使用可能。

これは、いわゆるIR(インパルス・レスポンス)系のリバーブエフェクトになります。270種類のプリセットには、古代の駅やフランスの大聖堂などの空間だけでなく、ビンテージ機器となったスプリングリバーブやデジタルFXユニットなどハードウェア機器のリバーブ感が再現されたものまで用意されています。

図2:赤枠の部分をクリックするとIRの選択が行なえる。

それだけでなく、オーディオファイルをドラッグ&ドロップするだけで、その波形をIR波形として使用できるなど、ユニークな機能も装備しています。

もう一つのDelay+は、

図3:Delay+の全体像。

ディレイエフェクトなのですが、オーソドックスな使い方によるエコー効果だけでなく、5種類の「Blur」オプションを使用することで、ディレイの域を超えたエフェクト表現が得られる他、Pitch ShifterやFlanger+、その他のVSTプラグインをDelay+内のフィードバック・ループに組み込んだ複合的なエフェクト表現を得ることも可能です。

図4:Delay+のGUI中の赤枠で囲んだ部分をクリックすると、フィードバック・ループで組み込んだFXデバイスが表示される。

既存ユーザー(有効なアップグレードプランをお持ちのユーザー)は、メーカーサイトのご自身のアカウント内でベータ版が公開されていますので、ぜひ試してみてください。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。