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【ソフトシンセ入門】サウンドメイクの基本をSPIREでマスター(vol.7)

第7回:LFOセクションの役割

今回は周期的なサウンド変化を設定する際に必要となるLFOセクションについて解説したいと思います。

LFOとは

LFOとは音の高さや音色、音の大きさなどの周期的変化を加える機能を持ったもので、正しくは“Low Frequency Oscillator”と言います。一般的なシンセサイザー同様にSpireのLFOも変調波形の選択、変調パラメーターのレートとデプスの設定がポイントとなります。

それではSpireのLFOセクションを見てみましょう。

ここでは“Form”の部分で変調波形を選び、“rate”が波形を変化させる速さ、デプスに相当する部分は“amp”のパラメーターが前述の主なパラメーターとなります。

図1:図中の左上の黄色の枠線で囲んだ部分が波形を変化させる速さを設定する“rate”、中央株の黄色の枠線で囲んだ部分がデプスに相当する“amp”となる。

SpireにはLFO波形が豊富に用意されているため、サイン波、三角波、矩形波などの他、ピアノやブラスなどのような楽器波形を有していることからシンプルなサイン波や三角波のような波形で得られない複雑な変化が得られます。LFOで設定した変化によって様々な変化を得るにはどのようにパラメーターに割り当てるかによって決めることができますが、割当先や変調の深さなどは図2で示した部分で設定を行ないます。

図2:黄色の枠線で囲んだ部分で変調先のパラメーターを設定し、“amt”ノブでかかり具合を設定する。1基のLFOで変調先は2か所設定可能だ。

ここではターゲットとなるパラメーターとamtノブでかかり具合を設定します。また、“vel”の調整を行なうことによって、ベロシティによるかかり具合の強さも設定できます。

LFOの変調によって得られる効果

それではどのパラメーターをLFOで変調するとどのような効果が得られるのかを解説しましょう。

一般的にピッチに対してLFOで変調を行うとビブラート効果、フィルターに対して行うとワウ効果、アンプに対して行うとトレモロ効果が得られます。Spireでそれらの効果を得る場合の参考例を拙著による「Spireのプリセットサウンドを更に良くするチョイ足しエディット術 vol.22」で掲載していますので、以下URLをチェックしてみてください。

その他のLFO活用例

この他、Spireではオシレーター出力の定位が設定できるため、LFOで定位を変調することでオートパン効果を得ることも可能です。

オートパン効果を得るための設定方法は、LFO1の変調先でオシレーターのパンを選び、LFO1のamp(アンプ)とamt(アマウント)でオートパンのかかり具合を設定するだけでオーケーです。

図3:オートパン効果の設定例。図ではLFO1でオシレーター1のPanを変調することで、周期的にパンを変化させている。ちなみに“SYNC”ボタンをオンにすることでテンポ同期したオートパン効果を得られる。

ちなみにオシレーターをユニゾンデチューンしている場合には、MIXセクションのwideノブの設定を使用しているオシレーターそれぞれで最大に設定しておくことで変化が一層わかりやすくなるでしょう。

図4:黄色の枠線で囲んだ部分が“wide”となっている。

このオートパン効果を得る方法も拙著「Spireのプリセットサウンドを更に良くするチョイ足しエディット術 vol.24」で掲載しています。こちらについても以下のURLをチェックしてみてください。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。