(2015/04/15)
前回はRAWのディストーションエフェクト部について触れました。
オシレータの波形をディストーションして更にエフェクトでもディストーションを掛けて、まさにディストーション三昧なのですが、歪みものにありがちな『音が潰れ過ぎて使えない』ということが少なくて、割と何も考えずに大胆にサウンドメイクして行ってもそれなりに良い感じの音になってしまう不思議なシンセサイザーなのです。
とはいえ、エフェクトは掛け過ぎるよりも必要最低限を必要なだけ掛けるというのが最も効果的だと思いますので、前回の内容にもありますEDIT/ORIGを積極的に使用して、エフェクト効果の変化を逐一把握しながら作業するのがお勧めです。
EQ重要ですEQ!
ディストーションはコンプレッサーと同じくらいEQの影響をダイレクトに受けます。
そこで、RAWには前回解説したディストーション・エフェクトセクションの前と後にEQを使うことができるようになっています。
2つのEQは画面右下、ディストーション・エフェクトセクションの上に表示されています。
見た目にはひとつのEQですが、PRE EQがディストーションの前、POST EQがディストーションの後に掛かるようになっています。
ON/OFFは個別にクリックして切り替え、設定可能なのはPRE EQ/POST EQのそれぞれのインジケータの点灯している方のみです。
ディストーションの前と後ろにそれぞれEQがある理由についてですが、主な役割が違います。
平たく言うとディストーション前のEQはブースターのような役割が強く、ディストーション後のEQはサウンドを整えるための役割が強い、と言えると思います。
例えばPRE EQでディストーションに入る前の信号の強調させたい部分を予めブーストしてからディストーションに入れたり、耳に痛い部分だけカットしてからディストーションに渡したり。
そのディストーションを通過した音をPOST EQで整えるといった使い方でしょうか。
注意したいのは、EQの場所がディストーションの前でも後でも、ディストーションが掛かっていない、またはうっすらとしか掛かっていない場合は同じような効果になるというところです。
効果的に使用するために、特にPRE EQはディストーションエフェクトのうちの少なくともひとつが有効になっていて、更にディストーションの効果が深ければ深いほどはっきり効果が現れると覚えておきましょう。
PRE EQとPOST EQの効果の違いを音で確認するために、PRE/POSTそれぞれのBAND 2のFREQを700Hz、BWを40%に設定して、GAINを最大値と最小値に設定した時の違いを見てみます。
PRE EQで特定の帯域をブースト/カットしてからディストーションに渡すとディストーションの掛かり方に大きく影響が出て、POST EQはディストーションが掛かって出て来たサウンドを整える、と覚えてくださいね!
EQ自体はオーソドックスで使いやすいもの
PRE/POSTの選択ボタンとそれぞれのON/OFFの他は、3バンドの至ってシンプルなEQで、その後にPRE/POST独立してLP/HPフィルターがあります。
念のために説明させてもらっておくと、各バンドのノブは以下の役割を持っています。
- FREQ:ブースト/カットする周波数
- BW:FREQで設定した周波数を中心として、その前後の周波数にどれだけ影響を与えるか設定
- GAINブースト/カット量を設定
シンプルな機能と判りやすいグラフィックなので、触ってみるとすぐに何をしているかイメージできると思います。
ついでに、『フィルター』と聞いて何をするものかパッとイメージできない人がこの文章を読んでくれているなら、GAINを極端に上げるか下げるかして、BWを絞り気味にしてFREQを上げたり下げたりしてみると、フィルターがどういう仕事をしているか?というイメージを持つのにも良いかも知れないです。
知らなくても困ることではないですが、知っていると面白いものですので、試してみてくださいね!
それではまた次回!!