(2015/06/17)
前回はシンセの仕組みにあまり詳しくない人がRAWのサウンドに興味を持ってくれて、曲の中で使ってくれているという話しを聞いて、プリセットを選択したところからもう一歩曲の中で使いやすいように調整する方法としてボリュームのエンベロープについての解説をしてみました。
その流れで今回もプリセットのサウンドを一歩自分のイメージに近づける手助けになるかも知れない時間軸に関する部分について触れてみます。
またADSRとLFOについての内容ですが、今回は時間軸に沿ってFILTERを動作させる方法についてです。
RAWの日本語マニュアルはダウンロードで
シンセサイザーはオルガンなどの動きの少ない楽器と比べると、動きを与えて効果的なサウンドというのが多い楽器のように思います。
前回のAMPエンベロープもその中のひとつですが、FILTERをLFOで周期的に動作させたり、ADSRで時間軸に沿って動作させたりというのも比較的使用する手法のひとつですね。
使いどころによってはかなり良い仕事をするので是非覚えておきたい機能です。
まずは通常通りFilter Typeを選択し、Q/VOWとFREQを好みに設定します。
Filter Typeの各機能については日本語マニュアルに詳しくありますのでご参照ください。
フィルターについては仕組みが良く判らないうちは、Qを適当な位置にしてFreqを左右目一杯回してみて、またQの値を適当に変えてFreqを目一杯回してという操作をなんとなくやってみるのが良いかも知れないですね。
きっとどこかで耳にしたことがあるサウンドに行き当たると思います。
操作は前回のAMPのエンベロープとほぼ同様で、MAINのLFOの設定で周期的にFilterを動作させる場合はFilter内のLFOのスライダーを上げます。
MAIN LFOのスピードやWave Formによってだいぶ印象が変わるのでいろいろ試してみると面白いです。
ADSRで制御する場合はENVノブを右方向に回します。
AMPエンベロープがADSRでボリュームを制御するのに対して、FilterのエンベロープはFREQの値を制御していると考えてもらえば良いと思います。
フィルターのリリースはAMPも一緒に考える
Filterエンベロープはサウンドそのものはもちろん、演奏するフレーズによって効果的な設定というのがだいぶ変わるかも知れません。
念のため文章で説明しておくと、ノートオンからアタックで設定した時間を掛けてFreqの最大値に到達し、次にディケイで設定した時間を掛けてサスティンの値に移行します。
最後にノートオフからFreqの最小値に戻るまでの時間をリリースで設定します。
すると断続的に連打するようなフレーズではアタックやリリースが長めの設定はあまり効果的ではないですし、ノートとノートに切れ間のないフレーズではリリースの設定は効果が期待できないです。
それから、Filterのエンベロープを使う時はAMPエンベロープの設定も気にしないといけないですね。
例えばFilterエンベロープのリリースを鍵盤から手を離して(ノートオフ)から1秒掛けて最小値に戻るように設定したとしても、AMPエンベロープのリリースが500ミリ秒に設定されていたりすると、Filterが下がり切る前に音が消えてしまうことになるので、それぞれのリリース設定の組み合わせはセットで考えないといけません。
LFOとADSRでフィルターを動かすとどういう感じになるか操作してみた動画を作成しました。
チェックしてみてください。
フィルターに時間軸を与えるだけで同じ音色でもずいぶん表情が変わるのが伝わったでしょうか?
前回と今回のような操作はRAWに限ったことではないですが、自分の過去を振り返ってみると気に入ったプリセットがあってもボリュームやフィルターのエンベロープが思ったのとずれていてうむむ…ということが良くあったように思うので、きっと誰かの役には立つはずだと信じて押し切る方針。
それではまた次回!!