【連載】強烈ディストーションシンセRAW!!vol.10

(2015/06/10)

前回シンセサイザーの音作りは何はなくともまずオシレータだと書きました。

オシレータはそのシンセサイザーの個性を決めると言っても良い部分ですが、オシレータで骨格を決めたら様々な機能を使用してサウンドに肉付けをしていきます。

RAWはお陰さまで電気ビリビリなジャンルを好む方以外にも好評をいただいていますが、シンセサイザーにあまり詳しくない方はプリセットを選択するだけで使用しているという話しも耳にします。

もちろんRAWのプリセットはそれはもう豊富なので、それだけでも十分良い仕事をするのですが、せっかくならプリセットを選択して、更に好みのサウンドにカスタマイズして使っていただきたいな、と。

そういったわけで、数あるサウンド肉付け機能から、まずは時間軸に関わる機能を紹介してみたいと思います。

まずはアンプエンベロープについて。

時間経過とボリュームの関係

RAWのアンプエンベロープは特別な機能を持っている訳ではなく、ごく一般的なシンプルなものです。

img_distraw-10_01

アンプエンベロープというのは、ノートオンからオフまでの間、音の立ち上がりから消えるまでの一連のボリューム変化の時間軸を設定するものでです。

まず注目したいのがATT、DEC、SUST、RELの4つのノブ。
それぞれアタック、ディケイ、サスティン、リリースで、略してADSRと呼ばれますね。

ADSRはボリュームだけではなく、シンセサイザーのいたるところに出てくるので、これを理解しているかいないかでシンセサイザーのサウンドメイクの幅が大きく変わります。

ADSRが何のことかさっぱり判らないという人は、以下に判りやすく説明しているページがあるのでご一読ください。

シンセヒーローへの道 Vol.3エンベロープで感情を表現する

RAWのアンプエンベロープでADSRの他の機能はVEL、PAN、LFO>VOL、LFO>PANがあります。

VELはベロシティによって音量変化を与えるか、どの程度与えるかを指定します。
鍵盤を速く弾いた時ほど音量を大きく、遅く弾いた時ほど音量を小さくというように設定する場合は右方向へ、逆にベロシティの値に関係なく常に同じ音量にする場合は左に振り切ります。

PANはパンニングです。
左右の定位を調整します。

LFO>VOLとLFO>PANはそれぞれMAIN LFOの値に沿ってボリュームとパンを変化させるか、どの程度変化させるかを設定します。

VOLUMEはマスターボリュームとして機能します。

そのサウンド全体のLFOを決めるのがMAIN LFO

ADSR繋がりでガシガシ攻めてみようと思っていましたが、LFO>VOLとLFO>PANに触れた流れでMAIN LFOについて先に説明しておくことにします。

img_distraw-10_02

LFOというのはLow Frequency Oscillatorの略で、日本語では低周波発生装置といったところでしょうか。

それとなく『周期的に何かを起こすために使うもの』と考えておいてください。

RAWの場合はメインのLFOの他に、自由に割り当てて使用できるフリーLFOが2つ用意されています。

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フリーLFOは自由過ぎて説明がややこしくなるのでまた別の機会にするとして、LFOは今回のアンプエンベロープのようにボリュームに割り当ててトレモロのように使用したり、周期的に定位を変えるオートパンのように使用したり、フィルターを自動化したりするのに使うことが多いような気がします。

アンプのLFO>VOLとLFO>PAN、ADSRがどのように動作するかを見る動画を作成しました。
ご確認ください。

今までプリセットを選択するだけで使用していた人がこれを読んでくれているなら、パッド系のように立ち上がりのフワっとしたサウンドはアタックを遅らせると良いとか、ハードなリードサウンドを16分や32分でガシガシ刻むような時にはリリースをバスっと切ると良い感じとか、そんなほんの少しのことを知るだけでもサウンドメイクがぐっと楽しくなると思います。

次回もサウンドの時間変化についてもう少し書いてみたいと思います!

それではまた次回!!

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